山がよし 山がよしとぞ 思ふなり もともとわれは
山に育ちき
岡野直七郎
(やまがよし やまがよしとぞ おもうなり もともと
われはやまにそだちき)
意味・・山がいいなあ、山がいいなあと、しみじみ思う
ことだ。もともと私は山国育ちなのだ。
高校時代まで農家で暮らしていたが、大学を出
て都会人となった。たまたま山に登る機会があ
った会社勤めの時の作です。日々の都会での塵
労の生活を思うと、なんと山はいいのだろうと
感慨が湧いたものです。
注・・塵労=俗世間のごたごたした苦労。
作者・・岡野直七郎=おかのなおしちろう。1896~19
86。東大法学部卒。都民銀行取締役。
出典・・歌集「谷川」(東京堂出版「現代短歌鑑賞事典」)