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学びたきに 学べざりにし わが父母を 心につれて
講義受けいる 
                         飯田有子

 

(まなびたきに まなべざりにし わがふぼを こころに
 つれて こうぎうけいる)

 

意味・・自分の幸せは父母の与えてくれた幸せ。その父母は
    学びたい希望を持っていながら果たせなかったので
    ある。その父母の思いを胸にたたんで今授業を受け
    ている。

 

    多くの学生の中にはさまざまな境遇の人がいる。親
    許を離れて学校に通う人、家から通える人、アルバ
    イトに頼らなければやっていけない人等々。その置
    かれている立場は人によってみな違う。だが、多か
    れ少なかれ親の助けなしではやっていけないのであ
    る。その親への思いを作者は感謝と至福の気持ちを
    こめて詠んでいます。

 

作者・・飯田有子=いいだゆうこ。’88年当時東京女子大学
    一年生。

 

出典・・短歌青春(大滝貞一編「東洋大学現代百人一首」)