1856


 

さびしさに すべなくをれば 木の間より もの言ひかくる
鶯の声
                    大熊言道
 
(さびしさに すべなくおれば このまより ものいい
 かくる うぐいすのこえ)
 
意味・・寂しさに心がとらえられ、それを何ともしょうが
    なくしていたら、梢の間からものを言いかけて来
    る鶯の声がする。
 
    心がふさぎ晴れ晴れしなく、何となく何もしたく
    ない気持ちになっていたら、鶯の声がした。その
    方向に気がとらわれていると、憂鬱な思いもいつ
    しか気が紛れてしまった。
    
 注・・すべなく=なすべき方法がない。
    もの言ひかくる=鳴き声を擬人化したもの。
 
作者・・大熊言道=おおくまことみち。1798~1868。福岡
    城下の商家の育ち。歌人・書家。