けふもけふ あやめもあやめ 変らぬに 宿こそありし
宿とおぼえぬ
宿とおぼえぬ
伊勢大輔
(きょうもきょう あやめもあやめ かわらぬに やどこそ
ありし やどとおぼえぬ)
詞書・・長年住んでいた所を離れて転居して、翌年の
5月5日に詠んだ歌。
(きょうもきょう あやめもあやめ かわらぬに やどこそ
ありし やどとおぼえぬ)
詞書・・長年住んでいた所を離れて転居して、翌年の
5月5日に詠んだ歌。
注・・伊勢大輔集には「一緒に住んでいた人が引っ
越してしまって、翌年の五月五日にその許へ
贈った歌となっている」。
意味・・今日も去年と同じ今日、5月5日、あやめも去年の端午の節句と同じあやめで、少しも変らない
のに、この住まいだけは、住み慣れた以前の住
まいと同じとは思われないことだ。
去年と同じ5月5日。あやめも同じように美し
く咲いている。親しい女官たちと一緒に住んで
いた家も変わらない。何も変わらない中で離れ
離れになった女官仲間はいない。今頃どうして
いるだろうか。
作者・・伊勢大輔=いせのだいふ。11世紀半ばの人。越
前守・高階成順(たかしななりのぶ)の妻。
出典・・後拾遺和歌集・213。