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            真菰草

 

五月雨は 美豆の御牧の 真菰草 刈り干すひまも
あらじとぞ思ふ          
                相模

(さみだれは みずのみまきの まこもぐさ かりほす
 ひまも あらじとおもう)

意味・・五月雨の降る季節は、降り続く雨のために、
    美豆の御牧ではあの真菰草を刈って干す暇も
    ないと思われる。

    この歌の後から、五月雨のわずらわしさを述
    るだけでなく、労働の停滞や河川の増水など
    が詠まれるようになった。

 
 注・・五月雨=陰暦の五月に降る雨。梅雨。
    美豆(みず)の御牧(みまき)=宇治川、木津川
     の合流点に近く京都府久世郡久世町のあた
     り。当時有名な牧場があった。
    真菰草(まこもぐさ)=イネ科の多年草。沼や
     川の水中に生える。成長すると2m位になる。
     ここでは家畜の餌。

作者・・相模=さがみ。生没年未詳。1035年頃活躍し
    た女性。夫の大江公資(きんより)が相模守に
    なったので相模と名のった。
 
出典・・後拾遺和歌集206。