イメージ 1

 

物思へば 心の春も しらぬ身に なにうぐひすの
告げにきつらむ
                建礼門院右京大夫

(ものおもえば こころのはるも しらぬみに なに
 うぐいすの つげにきつらむ)

意味・・あれこれと思い悩んで心も晴れず、春になっ
    たとも思われない。そのような私の所に鶯は
    何を知らせにやって来たのだろう。

 
    平資盛(すけもり)を恋しく思っているのだが、
    まだ色良い返事が貰えなく思いつめている頃
    に詠んだ歌です。
    春が巡ってきて鶯は春を告げて鳴いてている
    のだが、心は心地よい春ではない。
 
   「物思へば」、人は人間関係や病気などで悩み
    事を多種多様に持っています。この悩みがあ
    れば春が来ても春の心地よさをかみ締められ
    ない。花を咲かせたいという思いがあっても
    中々花が咲かない。春が来たことをかみ締め
    たいものだ、という気持ちです。
 
作者・・建礼門院右京大夫=けんれいもんいんのうき
    ようのだいぶ。1157頃~1227頃。高倉天皇の
    中宮平徳子(建礼門院)に仕えた。平資盛(すけ
    もり)は恋人。

出典・・建礼門院右京大夫集。