かすみつつ くるるとおもひし 春の日は 朧月夜に
なりにけるかな
香川影樹
(かすみつつ くるるとおもいし はるのひは おぼろ
づきよに なりにけるかな)
意味・・霞み霞みして暮れて行くと思った春の日は、
今見ると、朧月夜と変っていることだ。
朧月夜を発見した時の心持であり、直前の
暮れ方の変化に感動したものです。
注・・かすみつつ=霞が深くなることをいったもの。
春の日は=「は」は他と区別したもの。
なりにける=「なり」は変るの意。
作者・・香川影樹=かがわかげき。1768~1843。契沖
や賀茂真渕らの歌論で対立。
出典・・歌集「桂園一枝」(河合書房「日本の古典」)