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閉じたりし 岩間の氷 うち解けば をだえの水も
影見えじやは        
                      紫式部

(とじたりし いわまのこおり うちとけば おだえの
 みずも かげみえじやは)

意味・・春になり岩間の水も解け出すでしょう。凍って
    いた水に、今ひとたび、私の姿が映ればよいの
    ですが。
 
    紫式部は宮仕えしていたが、宮中の人々と馴染
    めなく、一旦自宅に戻っていたが、宮中から早
    く出仕して欲しいとの催促に詠んだ歌です。
 
    氷は人の仲がうまくいかない事を暗示していま
    す。氷が早く解けて途絶えていた人との交際も
    出来るようになればいいのだが、という気持を
    詠んでいます。
 
 注・・をだえ=緒絶え。緒が切れること。
    をだえの水=水が凍って流れが途絶えているさ
     ま。
    影=水や鏡に映る姿。
    やは=反語の意を表す、・・だろうかいや・・
      ではない。
 
作者・・紫式部=むらさきしきぶ。970~1016。
 
出典・・ライザー・ダルビー著「紫式部物語」。