―― 『同期の人は全員、尊敬している』と、よくおっしゃってますね?
桜子 本当にそう思います。私はNSC8期生とかなり古参なので、今でも残っている人と言ったら、必然的に売れている人になるんです。なので私みたいな感じで芸人を続けている人は珍しいと思います。
―― 2011年7月の芸人復帰ライブでは、同期のバッファロー吾郎さんから、お花が届いていましたね。
桜子 ありがたい限りです。
―― 同期の人との交流というのは?
桜子 さっきも言ったようにテレビで活躍してはりますから、顔を合わす機会がまずないんです。
―― 最後にお会いしたのは、いつ頃でしょう?
桜子 何年前か忘れたのですが、一度、同期が集まるイベントが東京であったんです。それで「普段あんまり顔合わさんやつ呼ぼうや」ってなったらしく、私を呼んでくれたんです。その時が最後じゃないですかね。
―― 会場は?
桜子 『ルミネtheよしもと』ですね。
―― ちなみにその時、精神的状態というのは?
桜子 よくなかったですね。同期の芸人がテレビに出ているのを、まともに見られなかったくらいですから。
―― その状態でルミネへ行くのは、かなりの勇気がいりますよね?
桜子 今、思うとあの精神状態でよく行ったなと思います。リハビリの一環と捉えていたのかもしれませんけどね。
―― 実際、舞台に上がられてみて、いかがでしたか?
桜子 ちゃんと話せず笑いが取れなくて悔しかったです。みんなテレビでバリバリ活躍してはる人ですから、久々にそういう同期と会っての気後れがありました。あとは言い訳になりますが、ブランクが長かったというのもあったと思います。
―― 他には何かありましたか?
桜子 私がFUJIWARAの原西に片思いしてた事を、舞台上で言われてビックリしたのを覚えています。その話を振られて「えっ、みんなその事、知ってたんや!」って、その時初めて知りました。
―― 片思いは他の人に知られていたんですか?
桜子 ひた隠しにしていたので、誰にもバレてないと思ってました。でも周囲から見たら、バレバレやったみたいです(笑)。
―― この際なのでお聞きしますが、原西さんのどこが、お好きでしたか?
桜子 なんか人間ぽくないところですね。ギャグをする様とかが、人間離れしている感じがよかったですね。
―― 当然、原西さんにその思いを伝える事もなく?
桜子 私は『超』がつくほどの奥手なので、それはなかったです。
―― 打ち上げには出られたのですか?
桜子 参加させてもらいました。なだぎ武が隣の席だったんですけど、普通に話してくれた記憶があります。
―― なだぎさんのおっしゃった事で印象に残っている言葉はありますか?
桜子 私が「今日、舞台で何も話せへんかった……」て落ち込んでたら、彼が「お前は今日、ルミネに来ただけで正解やと思うで」って言ってくれたのが印象的です。
―― その後は、すぐに帰られたんですか?
桜子 いえ一泊してから帰りました。ホテルの部屋に入った瞬間、震え始めまして、カタカタなりながら薬を飲みました。
―― やっと一人になれて緊張が緩んだ?
桜子 そうなんでしょうね。久々に同期と会ったので、かなり気を張っていたんだと思います。翌日も不安ですぐに部屋を出られませんでした。ホテルのフロントに言って、チェックアウトの時間を少し延ばしてもらいました。
―― それくらい精神的な負担が大きかった?
桜子 かなり疲弊していたんでしょうね。私、ケチなので本来だったら延長とか絶対しないんです。ちなみに延長料金は千円でした(笑)。
(続きます)
インタビュー・文 高田豪