ご注意:【1】~【33】の記事は、自らが経験した死産からどのようにして立ち上がってきたのか、お腹の中の娘が教えてくれたことを考えながら綴っています。経験したありのままを書くことで、誰かを不安にさせたり、傷つけてしまったらどうしようと悩みました。でも、私が同じ経験をした人から救いを得たように、今苦しんでいる誰かを助けることができれば、私と同じことになって欲しくないとの思いから、赤裸々に体験談を記事にしています。不安な方は、ここでストップしてください。  

 

 

 

  希望の光がほしい

 

2022年1月14の退院日。

 

目が覚めた途端に

 

足形カードをまた開き、病室での私の朝が始まりました。

 

おはようベビたん。

 

あとなんて話しかけたらいいんだろう

 

少し間があき

 

指先で足形を撫でながら

 

元気?と尋ねました。

 

その瞬間

 

元気なわけないよね

 

ベビたんいないんだよね!

 

現実に襲われて私は再び苦しみだしました。

 

ねぇ。

 

どうしてママのところからいなくなっちゃったの?

 

どうして!!

 

いなくならないでよ!!!

帰ってきてよ!!

 

会いたいよ!!!

 

1人の病室でとめどなく溢れ出す涙

 

ごめんね。ごめんね。私があんな風になっちゃったから

 

ベビたん、きっと苦しかったよね

 

苦しかったのに

 

ママ助けてあげれなくてごめんね。

 

ごめんね。

 

現実を受け入れなければならない気持ちと夢であって欲しいと願う狭間に

 

激しい感情が入り乱れ、心が荒波の中で溺れているかのようにもがき苦しみました。  

 

泣き止んではまた涙が溢れ

 

入院中、私の目は瞼で埋もれずっと重たかったです。

 

その日の朝、K先生のチームでもあるハイリスク妊婦専門医のT先生が再び様子を見にきてくれました。

 

「今後もY先生の診察を受けたい?」と聞かれたので 

 

私はもうY先生に会いたくないと思いながらも何と答えていいのかわからず困っていると、

 

私の気持ちを分かっていたのか、

 

T先生に「いいのよ、No」と答えてもと言われ

 

私はすかさず「もう会いたくない」と答えると

 

「あなたがそう言うのは理解できるわよ」と言われました。

 

そして、「もし、次の妊娠を考え始めたら、しっかりあなたを最初から診るからその時になったら教えてね」

 

と頼りになる言葉をかけてくれました。

 

でも、私に果たして次があるのか

 

まもなく43歳を迎えるのに

 

もう凍結卵はひとつもないのに。

 

また、一度妊娠高血圧症候群にかかった場合、次の妊娠で再び妊娠高血圧症候群になる可能性も高いと言われました。

 

娘のことで頭がいっぱいでありながらも、私は高齢による焦りも同時に感じていました。

 

そして、また同じことになったらどうしようという恐怖を感じつつも、

 

娘を失ったばかりなのに、私はなぜだか分からないけど、赤ちゃんが欲しい!と思ってしまいました。

 

私がまた妊娠したら娘に会えるんじゃないか

 

娘に会うためには私がまた妊娠するしかない!

 

もう娘に会えないことは頭のどこかで分かっていながらも

そう考えずには自分の心の安定を保つことができませんでした。

 

娘を失ったばかりなのに、赤ちゃんをまた授かりたいと思うこの気持ちが湧き出てくる自分の心を卑怯にも感じましたが、

 

でも、そうでも考えでもしなければ

 

私はもう絶望の淵に落ちていくしかなく

 

なぜこんな思考になるのかも分かりませんでしたが、

 

ただ単に「希望の光」が欲しかったのです。

 

自分の心をこれ以上殺さないようにするためには、

 

唯一、希望の光を見つけることでした。

 

そうでもしなければ、私は死にたいという気持ちに押し潰されるしかなかったです。

 

T先生に「私は希望の光が欲しいだけなの!こんなことを言っている自分が嫌になる!」というと、

 

「分かるわよ。可能性を思うことで人は救われるから。」と言ってくれました。

 

T先生が退室し、しばらくすると私の大好きなMナースがやってきました。

 

Mナースは、背の高い白人女性で、とにかく優しくて何かしらいつも疑似音をつけて可愛いんです。

 

私はその日の担当がMナースだとわかると嬉しくなりました。

 

入院中、Mナースからも「次に妊娠したらT先生に見てもらうといいわ」と勧められていました。

 

私が、今回のドクターチームのメンバーだと言うと、「わぁ!そうなの!それなら今後も安心ね!」と言っていました。

 

私は、「実はさっきちょうどT先生がお部屋にきて、「まだY先生にかかりたい?」って聞かれたの」と言うと、

 

Mナースは、ニタニタしながら、「で、なんて答えたの?」と聞いてきたので

 

「ためらったけど、『Y先生はもう嫌です』って言ったよ」と答えたら

 

「いいじゃない!」「そうよ、ドクターにはそれぞれ専門があるの。Y先生は優しい先生かもしれないけど、健康な妊婦を診る先生だわ」と言われました。

 

そっか そっか そうなんだ あぁぁぁただただ悔しい

 

妊娠中、なぜ私の主治医だったY先生はハイリスク妊婦の専門医を私に紹介してくれなかったのか

 

体外受精の名医C先生を紹介してくれたのも 

 

今回の手術の専門医Kドクターチームを紹介してくれたのもY先生だったのに

なぜ私がこうなるまでY先生は自分だけで私の面倒をみようとしたのか

 

私にはその理由を見出すことはできませんでした。

 

その日、ようやく血圧が安定した私は、無事に退院日を迎えることができました。