文化小ホールで見た『オレンジ・ランプ』

 

会社の一線で働く4人家族、39歳の大黒柱が若年性認知症を通告される、

 

実状に基づいた映画である。然し家族は悲観することなく、修羅場をみせることなく

 

若年性の患者と助け合っていく。妻(奥さん役は貫地谷しほり)は夫を、子供は父親を、一

 

緒に暮らしてはいないが

 

患者の両親も、そして軽症とは言え会社の仲間までも助け船を出すヒューマン・ムービーで

 

ある。主人公コウイチは(和田正人)道に迷い、物忘れがあっても、夜徘徊するとか、

 

日常で左程悪影響を及ぼす症状が多い患者ではない。同病者のサークルや会社仲間にも

 

告知して、過去の仕事ぶりから仲間からも慕われる人間である。だから皆が応援してくれる。

 

テーマは悲しいストーリーのようであるが、描き方が明るく、ユーモアも交えて

 

そっと寄り添う描き方がよい。それでも健康的な日常よりは非日常的な場面は多く

 

もらい泣きする観客のシク、シク、ジュク、ジュクする音は聞こえた。隣のお人も

 

鬼の目にも涙、閻魔様にも啜りの鼻水。私は朝から目頭が重く、すぐ上瞼が塞がって

 

音声だけの上映が続いた。でもカラッとした若年性認知症の映画であることは分かった。





 

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私が以前勤めていた会社にも若年性アルツハイマーの社員はいた。他の会社で発症し、

 

やや完治したので伝手で入ってきた。見た目は変わっているとは思えない。言動も普通であ

 

る。C大法学部卒、相当の受験勉強の結果が入学に繋がった。ユーモアは解せない。趣味も

 

ない。30代で独り者。クローバーZのファンで握手会の常連だった。しかし通常60代で

 

頭に異変を感じるところを30代で脳が萎んだり、忘れがちの人生を送るとなると本人も

 

関わる人たちも大変な生き方をしなければならない。私もこの人もパート(私は定年後)だ

 

ったが、同じ立場にありながら私が頓珍漢な仕事をする彼にちょっと強めな言い方をして

 

しまって、それ以来敬遠されてしまった。本人が入って来たとき、私が面倒みるよう

 

言われていたし、若年性アルツハイマーであることをカミングアウトしていたのに

 

私の配慮が足りなかった。繋がりはほぼ一年で私はここを5年契約でやめたがその後の彼

 

の経緯は知らない。でもこの映画の主人公よりずっとマシな状態だった。山奥から自分で運

 

転して通勤していたのである。

 

 

 

 

 

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