DVD『今朝の秋」を観て
最近図書館は古いドラマDVDを購入するようだ。今日借りて来たのが2013NHK放送山田太一脚本
「笠智衆」主演「今朝の秋」である。高齢で蓼科に一人暮らしている老人の元に息子の隆一(杉浦直樹)
が入院していて余命いくばくもないと言う情報。東京へ見舞に行くと20年前、他の男と去っていった
前妻のタキ(杉村春子)もいた。息子の嫁も世話に来ていたが他に男がいて別れる寸前だと言う。
チリジリバラバラになっていた家族が隆一の病気が原因で元通りに回復していく話である。セリフを語らず
ウ~,ま~、あ~と相変わらずの返事ばかりでどんな役を演じても言葉少ない、深みある役者笠智衆
でも怒る時は怒って、20年前去っていった妻の杉村春子への暴言、怒りは素晴らしい。そして病人の
息子を黙って病院から連れ出して、住まいの蓼科にタクシーで乗せて行ってしまう。心配して探しに来てくれた
タキへの優しい仕草もこれまた笠智衆ならでは天使のような微笑みだった。朴訥ではあるが二面性が
はっきりしていて親しみを持つ。杉浦直樹の女房役は倍賞美津子であり、飲み屋のおかみ杉村春子の
お手伝いが樹木希林(太である),怪優加藤嘉が笠智衆の友人役をやっていて皆、60歳くらいの頃
文学座の面々が出そろっている。今では殆ど鬼籍に入り、倍賞と五大路子くらいしか生きていない。
見ている私も笠智衆になっていて、私が一人残る確率は少ないが、もうすでに午後は一人になる時間帯があって
時間を持て余す日々がある。生活ルーティーンと一日の予定をしっかり作って、ぼ~となる時空が無いよう
作戦を考える日々である。
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