横山秀夫氏・5年振り講演
横山秀夫氏の講演は過去にも数回聞いている(2013、2019)
記憶では前回の講演はインタビュー方式だった。壇上に一人の女編集者が
座り、アレコレ質問していた。作家は壇上で一人喋るのは辛いからの
作戦だったと認識している。「あの~~」「え~~」も数多いが、今日はどうにか
一人で60分フルに喋り、質問コーナーでも全快でまくしたてた。本日は
身体共々快調を思わせた。2013年頃は執筆フル回転睡眠時間2時間余
朦朧として語っていた節があった。質問コーナーでは聞かれた2つ3つの内容に「…でどんな質問でしたか?」と数人に言って場
内が爆笑した。
「人生で勉強になった先輩や教師はいますか?」の質問に横山氏は「年上で参考になった人はいない。年下の人では教えてもらう
ことが多かった」と言った。
年上の人は既成のことを教えるだけだけど、後輩として入って来る人たちは
新しい自分の知らない世界を教えてくれた風なことを回答していた。
横山氏が今回語った講演は過去3度の講演とダブル内容がままあったが、新しく知った内容は次の通りである。作家として認めら
れる前はずっと漫画の原作を書いていた。「陰の季節」で松本清張賞を受賞すると、今まで無かった執筆の依頼が殺到した。5~
6社、断ることが出来ず全部のオファを受け付けた。
そこから一日2時間程度の睡眠しかとれなくなった。幻覚が起きティンカーベルのピヨピヨが毎日頭の中で鳴り響いた。そのうち
ピヨピヨは作品を生み出していく手段になる。作家はテーマが上から落ちて来て良いアイデアが生まれると言うが、横山氏の場合
ピヨピヨが作品を作っていった。然し寝不足は深刻でついに心筋梗塞で倒れた。だが運ばれた救急先で心臓血管の名医が当直にい
たため、即手術一命を取り留めた。そこから爆睡、リハビリを得て体を回復させた。
現在67歳元気そうである。相変わらず「横山先生!」と呼ばれるのを嫌い、
質問者がそういうと手で遮って「私は先生ではありません!」といちいち打ち消した。非常に権威を嫌う姿勢は昔と変わりなく、
頼もしいと思った。
直木賞の権威にたてつき、医師会の無謀さを話され、年と共に怖いものなしの生き方が言葉の節々に窺われて、愉しい講演だっ
た。大体5年周期で講演を聴取しているのであと5年先お互いどうなっているか、変わらないが講演があれば会場の片隅で静かに
聞いている自分を想像したい。
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