『挑む人達』奥野武範著:角幡唯介編

 





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本書は日本の探検家や冒険家にインタビューを試みた書である。その最初が北極で

 

極夜の中を彷徨歩いた角幡唯介氏。私は6~7年前角幡氏の「極夜行」を読んで

 

Blogしたことがある。当時孫のいる福岡へ行く準備をしていて、全部読めなかったが

 

月星の光だけで犬一匹と歩くサマは地球に太陽光が射さなくなったら、人類これに似た

 

生活を余儀なくされるんだと思ったものだ。食料が底をついたら、連れ添った犬を食わなけ

 

ればならないという記述があって、人間が原始帰りし単なる生き物になることは、そういう

 

こと何だと戦慄を憶えた。犬の方は主人に忠実で逆のことは考えないだろうし、殺されかけ

 

る時、きっと食料になる自覚があるのかもしれない。今回のインタビューの返答では

 

犬一匹との冒険ではなくなって、12頭の犬橇の旅へと変わっていた。

 

年齢も来て歩くより犬橇をマスターして北極4000㎞を走破の方が楽しいと言っている。

 

インタビュアの奥野氏は何故、こんなきついことを一人でやるのか?

 

執拗に聞いているが、学生の頃からの延長だからやめられないと答えている。

 

一人の方が二者択一の時、もめないので気が楽。気を遣うこともない。

 

何故、危険地帯にいながら命を守る、ケータイを持参しないのか?

 

 

 

純粋に生きていることの認識?よく分からない返答【禅問答】をしている。この前、マッキ

 

ンレーで消息を絶った植村直己さんの毎日グラフ特集が出て来て、メルカリで出品してい

 

るんだけど、(幸いにして売れない)あの頃植村さんだったら持参しただろうと思う。(無線

 

機は利用)身に危険が生じたとき、いち早く救援を呼ぶことは別に恥でも矜持に関わること

 

でもないと思うが現在の角幡氏は冒険先から定期的には奥さんに連絡をするようになった

 

という。冒険者はエゴの塊だからよくここまで妥協したもんだと思う。

 

冒険家はあくまで、過去にやったことのある実績時柄については、目立たないし

 

注目されないから、新しいこと、人跡未踏や誰もやったことのない冒険に挑戦する。

 

命を賭けて金かけて冒険をやれる年齢まで目的地を目指す。角幡氏はスポンサーを

 

持たないとインタビューに答えているが、金は何処から工面するのか?エベレスト登頂で

 

も1000万円かかると言うのに・・・・・。

 

カネの提供があると自由がなくなると言うが、植村氏も和泉雅子氏(女優)は飛び立つ日ま

 

でスポンサー回りして、金の工面に苦労したようである。充分な資金と装備があれば

 

マッキンレーで遭難することもなかったかもしれないと思うと、冒険もやはり

 

金次第ということになる。そこをクリアして無事帰国すれば,それはそれで誇りには

 

なるだろうけど、いつまでも続くか幸運と体力と言うことになる。

 




画像>単独行より犬が沢山いた方が話が出来て滅入らないという。本書は他に岩場上りの

平山ユージ氏。エベレスト10度ガイドの倉岡裕之氏。山岳映像カメラマンの前田泰次郎氏、

謎の怪獣探し高野秀行氏、葦船乗りの石川仁氏、未踏峰を行く平出和也氏・・・・。

他多士済々。

 

今回のインタビューで関心を持ったのはジャコウウシのことだった。北極行では食料も持

 

っていくが当然現地調達もある。獲物は大概アザラシらしいのだが、あちらだって食料に

 

されるのは真っ平御免。ジャコウウシも広い氷原で見つける。ある日4頭いたので自分と

 

犬の分として2頭をライフルで射殺した。残りの一頭はすぐ逃げたが、もう一頭はその場

 

に留まって逃げなかった。翌朝まだその一頭は留まっていて、2頭を解体し始め、肉片を

 

犬に与えた途端、凄い声で寄って来て肉片に頬ずりしたり暴れだした。角幡氏は身の危険を

 

感じてテントからライフルを取り出したのだが、そのジャコウウシはその場に倒れて死ん

 

でしまった。脳卒中を起こしたようだった。それを見て角幡氏は深いジャコウウシの

 

愛情を感じたと言う。生きるために生きているものの命を奪うと言うことは中途半端な気

 

持ちでは出来ない。我々の大部分も他人任せで生きていたものを食って、生き永らえている

 

しこれからもそうして生きていく。こういう光景を教えられるとふと犠牲になったものに

 

感謝と畏敬の感を禁じ得ない。ここの文章では書かれていないがきっとジャコウウシはツガイか親子だったのでないかと推察される。角幡氏はこの辺のことは無で、動物の感性は不思議とだけを記している。