『ムーミン生みの親』トーベの映画を見て

 

星の王子さまやスヌーピーほどムーミンの原作者を知っている日本人は少ないのでは?

 

埼玉県飯能にムーミンパークがあるが、私の知り合いで行ったことあるものはいない。

 

今回見た映画はノルウェーの著名な彫刻家・画家の間に生まれた娘トーベ・ヤンソンが

 

芸術家ファミリーの中で苦悩し、目指した絵描きではなく、余興もしくは絵を描く一休みに

 

さらっと描いていたイラストが世に受け入れられた話である。勿論第二次戦時下生死の不安に

 

怯えながら気休めに書き溜めたアイデアの放出であったと言ってもいい。ムーミンと言う得体の知れない

 

小動物は何?スウェーデン伝説にあるトロールと言う妖精にヒントを得ている。母型の祖母に聞いた話で

 

日本の「座敷わらじ」みたいに夜になると小さな音を立てて、存在をアピールするらしい。

 

ムーミンの世の出方は大阪の紙芝居で人気のあった「墓場の鬼太郎」をお茶の間風にアレンジを加え

 

「ゲゲゲの鬼太郎」として一世を風靡した水木しげる氏の賢さと同じである。オリジナルを大衆に

 

受けられるよう親しみと愛情を込めたキャラクターに仕上げた。

 

それをスケッチブックやキャンパスの端っこにいたずら書きのように描き込んではいた。ムーミントロールと名乗るのは

 

ずっと後のことである。絵の方はさっぱり売れない画家ではあったが、トーベのムーミンは

 

舞台監督や新聞編集者に注目を浴びた。カバのようで何だかわからない小動物とその仲間たち。

 

アパート家賃も滞納する位の暮らしぶりだったから、やがてスポンサーらしき人物に遭遇すると

 

一気にムーミン人気はノルウェー、ヨーロッパ、全世界にムーミン谷のキャラクターは評判を呼んだ。

 

日本でも1970年頃テレビでムーミンアニメが子供の人気を呼んだ。残念ながら私は見たことがない。

 

グッズでこの得体の知れない小動物は何?と家族に聞くだけで、家族も満足にムーミンの正体を知っている者は

 

いなかった。日本では放送側と原作者間で意見の不一致があり、あれこれチャンネルは変更して

 

放映されたらしい。北欧の作家は頑固なのか、大衆向けにし過ぎる日本側に問題があるのか、

 

その両方かもしれない。見て楽しむ子供たちには大人たちの事情は分からないから、うちの子供たちも

 

良くムーミンの主題歌を口ずさんでいた。トーベファミリーは戦前著名な芸術家一家だったが

 

娘だけがずっと無名だった。それがムーミンで売れて来ると社交界に繋がりが出来、

 

その当時としては早い同性愛に目覚めていく。

 

今ではLGBTは市民権を得て、大手を振ってカミングアウトできる時代になったが、当時あのフリーセックスの

 

盛んな北欧社会で肩身の狭い立場にあったようだ。要は芸術を生むのに打算も含めて、身近に刺激や

 

影響を与えてくれる存在は貴重ということである。それが男か女か?性愛の営みに対しては異性か

 

同性かは問題ではない。それは長い間宗教が拒んできたが神仏なき世に怖い者はないのである。

 

トーベは当初異性と結婚するも2カ月で破局、以後亡くなるまでパートナーはヴィヴィカ、トゥリッキー

 

同性であった。映画ではどんな場面でも煙草をふかしている愛煙家で、強い権力に対する思想の持ち主

 

であったことがうなずける。下記はムーミンが生まれる前1943年、反ヒトラーを描いた風刺画である。

 

右下にムーミンらしき生き物がサイン代わりに描かれている。

 

 

画像:参考:ムーミン谷のすべて>スターリンの風刺画もあるが、同盟国だったので描き直しを余儀なくされている。

 

 

画像:DVD:「トーベ」

 

 

 

 

 

 

動画:ムーミンの主題曲>