捜査一課 伝説の刑事「完落ち」を読む

テレビで「ご遺族の無念を晴らすため、ホシを上げる!」と合同会議で檄を飛ばすドラマ捜査一課長がいる。そこまでは行かないにしても捜査

 

と犯人逮捕に情熱を燃やす伝説の刑事「大峯泰廣氏」の


取調室ドキュメント本。別名「落としの大峯」が容疑者と対峙し、全知全能を駆使して「完落ち」させるテクニックを網羅している。


「半落ち」と言うのは昔寺尾聰の主演刑事物で見たことがあるが、「完落ち」と言うのは矢張り刑事言葉で完全自供に追い込むと言う用語らし

 

い。


画像寺尾聰主演横山秀夫作:>


我々世代は伝説の刑事と言うと「吉展ちゃん誘拐事件」で物証のない容疑者を自供させることが責務だった。その任務を当てがわれたのが

 

平塚八兵衛氏だった.全体温和な感じだが目だけは異様に人間の内面を探っているような目つきをしていた。イヤ私は取調室で八兵衛さん

 

の尋問を受けたわけではありませんから、誤解なきよう。テレビで評判の八兵衛さん退職後出ていたし、3億円事件(白バイで強奪・府中)の

 

捜査にも関わっていたと思う。


平成の伝説の刑事・大峯さんのことを元文春記者・赤石晋一郎氏が書いた本では10余り事件が掲載されている。その中で飛び切り痛快厳選

 

4つを御紹介したい。先ずは保険金目的で奥さんをロサンゼルスで殺す計画を立てた男の話。これは直接主犯容疑者に尋問したのではな

 

く、其の数か月前奥さんの頭部を金槌で殴打した元女優の「完落ち」の話である。これは劇場型事件として世間を席捲した鬼畜の犯罪で


呆れて物も言えない事件だった。大体のことはテレビや雑誌で知っていたが、この本を読むとまだ知らないことが出て来た。例えば「疑惑の

 

銃弾」の主人公は奥さんがロサンゼルスで入院している時(植物人間)、本人は帰国していてアメリカ大統領、カリフォルニア州知事、ロサン

 

ゼルス市長にそれぞれ抗議書を送り付け、20万ドルの補償を要求していた。人間ここまでやる?人の皮を被った獣のなせる業。ロス疑惑の

 

主人公は大分イカレたサイコ野郎だった。元女優は素直に「完落ち」したが、もしミスター・サイコと大峯さんが対峙したら、そりゃ、稀代の名

 

勝負になったことだろうね。このようにフルハムロードのオーナーはやることなすこと杜撰、行き当たりばったり殺人計画で愛人に金槌で頭部

 

を殴打しろとか、俺はラスベガスの砂漠に人を埋めたことがあるとか平然で本人に言う。多分ロサンゼルスの2人組の犯人も当初は現地で調

 

達したイカレタあんちゃんに頼んでやらせただろうと思っていた。しかしX氏はそんなに英語が流暢に話せた能力はなさそう。ケータイもない時

 

代だから緻密に連絡も取れない。この本では


大阪在住でこの時白いバンをレンタルした男がいる情報を得ている。何故か本人でなく奥さんから1981.11・17、つまり事件の前日レンタルし

 

ていた事実を確認した。大阪男は大阪で事情聴取を受けたが、


この事件の難しさは世界を股に懸けた犯罪で担当窓口が幾つも出来ただけで混沌として決着を見なかった。容疑者もその保険金で悠々自

 

適な生活を新たな愛人と送っていたが、どういう風の吹き回しか


サイパンへ出かけたんですな。そこで御用!ロサンゼルス送りになってしまった。アメリカでは時効がないんです。日本も凶悪事件に限り時効

 

は無くなりましたが、被害者家族にはいいことなのか計り知れませんが、悲劇はこの世から無くなることを願っております。


画像-本>


宮崎勉-幼女誘拐殺人事件、オウム事件でサリンを作った土谷正実


の完落ちと流石落としの大峯氏八面六臂の大活躍だが、最後に迷宮入り必至❔世田谷一家殺人事件について触れたい。


大峯氏はDNA鑑定を一般公開して忘れ去られそうなこの事件に一矢報いようとしたが、時の刑事部長にその必要はないと封じ込まれた。捜

 

査する刑事としてその立場を否定されたので、定年一年前だが辞職した。打ち込んできた刑事一筋の生活がこんな形でピリオドを迎えたこと

 

は、本人のみならず、この事件に関わる幾多の人々の無念でもあった。以前から世田谷事件の犯人は外国人説があった。殺し方が残虐で

 

容赦ない。女子供関係なくズタズタなやり方が見える。


年末や都会と言う場所柄、証人や目撃者皆無。犯人が帰国する置き土産に怨恨込めてやり抜いたと言う感じ。幾多の遺留品、指紋を大量

 

に残して捜査官を嘲笑うかのような殺戮現場だった。大峯氏唯一「完落ち」が無縁な事件であった。人生は一寸先は闇、いつどこで自分が被

 

害者になるか分からない。犯罪をやらかす人間は或る日突然予告なしに土足で踏み込んでくる。最近小田急電鉄に乗り込んでいて思いがけ

 

ない被害を蒙った人々も運が悪かったとしか言いようがない。地下鉄サリン事件でサリンを作った土谷は昔の恋人に3月20日東京へは来な

 

いようにと電話をかけていたそうだ。落としの大峯氏が後年洗脳から解けた土谷から聞いた話だそうだ。


画像ロボコップ>


今犯罪大国アメリカでは警官の数をドンドン減らしていると言う。


近い将来遂にロボコップが登場しそうである。日本は数減らしはしないようだが、ずっと長い間サラリーマンポリスが多発して検挙率は下がっ

 

ている。大峯氏のようなドラマから抜け出したアクの強い刑事はドンドン化石化している。マニュアル警官しか世の中居なくなると無差別で殺

 

人をしたがるゲームオタクみたいな犯行予備軍には怖いものなしの時代が来る。日本も拳銃一丁護身用に持っていようなんてアメリカ並みの

 

時代が来るのかね。何故か


4つ書くと言って「宮崎勉」完落ちのことを書かなかった。幼女狙いは団地だった。頑なに黙秘権を使って犯行を否認したが,両親のことを話し

 

たりして胸襟を開いて行ったが肝心なところになると、俯いて押し黙った。「水を下さい」とか「トイレに行きたい」要望は心変わりする為、取り

 

調べでは絶対許可しなかった。宮崎は自分の犯行が死刑に値することはないと言う世間知らずだったが、取り調べで段々罪の深さが分かっ

 

て来ると最後の犯行についてとぼけを装った。何故か❓遺棄した死体を見に戻る習性がある宮崎は山林に遺棄した死体が無かったことを知

 

っていた。殺した証拠がなければ言い逃れる出来ると踏んだ。しかし大峯氏は埼玉近隣のこの種の事件のホシは宮崎しかいないと確信して

 

いた。