横山光輝画コミック「水滸伝」1~2巻を読む
巨大な国土と人口を誇る中国には北京、西京、南京そして東京(とうけい)があった。東の京開封と呼ばれたようだが、宋の時代世
界一の大都市であったと言う。人口が密集すればそこには優秀な人々も集結するが、賄賂好きな役人、
盗みや殺しを働くゴロツキも多く住みつく。そんな中、根は善良だが悪徳役人に業を煮やし、歯向かったことで開封等に居られなくな
った犯罪人や元役人が続出した。そういう人たちが何処へ逃れ、何処に隠れたかと言うと東京開封の東にあった険しい山腹地帯
「梁山泊」であった。ここでは巷間噂のいい豪傑・義賊・元軍人・元役人たちが訳入りで集まっていた。そしてそれは肥大し官軍も近
付けない難攻要塞になっていった。
水滸伝と言うと14世紀頃施耐庵が書き、羅貫中と言う劇作家が面白、可笑しく脚色して民衆に大受けした物語と言われる。施耐庵
は元々梁山泊に住み着いた好漢だったようで内部事情に詳しかった。
それを羅貫中が1~2割事実の8~9割尾鰭付け脚色して仕上げた。権力に虐げられていた民衆は大いに留飲を下げた。日本で言
えば高倉健や鶴田浩二のようなアウトローや任侠仕立ての物語が成立したということ。水滸伝第1巻は竜虎山の伏魔殿の悪霊が解
き放たれた。世の中に乱世の予感が走る。権力に歯向かう王進(八十万禁軍師範、祭の暴漢が高俅)~史進〈王進が武芸百般を教
える〉~魯智深(憲兵から坊さんになる。肉屋を殺してしまい逃亡)~林冲(八十万禁軍指南役棒術の達人、高俅の倅が奥さんを狙
う、刀のことで盗人にされる)~楊志(林冲と戦う。高俅直属の親衛隊将校。西湖で石を集め帰還する時、黄河が氾濫した。ヤクザ
牛二を斬ってしまい逃走)~が登場する。
第2巻では後に梁山泊の首領になる晁蓋(侠客で名主。高俅への賄賂を横取り、密告されて逃走)~宋江(晁蓋を助けた役人。囚人
旅は親の意向)~も登場し、物語を段々面白くしていく。第2巻はやがて梁山泊の頭になる元役人の宋江の記述が多く、今の中国も
そうなのかも知れないけど賄賂を贈ればムショ暮らしも快適になる情景が描かれている。
さて東の京開封なのだが、今は水滸伝の観光化が進み、国内や海外から観光客が訪れると言う。そのネーミングを江戸から明治時
代に入って東京と改めた日本だが、今や宋時代の開封のように世界的な大都市になった。一時期は中国からの観光客が爆買いし
てくれて、大いに外貨を稼いだが、中国の経済力の低下と2020コロナ騒ぎでオリンピックが延期となり、莫大な外貨を取り逃がした。
中国の東京開封は大河黄河の氾濫の土砂で地下に埋められてしまったが、日本の東京はこれから先どうなるんだろうか?
地震や地球温暖化で水面が上昇するのも怖い。でももっと怖いのは一党独裁でなりふり構わず海上に姿を現す理知と無縁な漢民
族の子孫たちの所業である。


