ヒトラー作「わが闘争」コミックで読む

 

ヒトラーはホロコーストでユダヤ人を大量虐殺して悪魔のように呪われている人物だ。しかしこのコミックはヒトラーがまだ若い頃クー

 

デターを起こし逮捕されて、ランツベルク刑務所に収監されている時書いた、生い立ちから政治・経済まで純粋なまま綴った自伝で

 

ある。

 

このコミックを読むと何故、偏執狂のようにユダヤ人を目の敵にして、滅亡させようと画策したか分かる。極端な思考の持ち主は徹

 

底的に完全主義を貫くので恐ろしい。ことは第一次世界大戦に一兵卒として従軍したヒトラーはドイツの敗北に驚く。勝ち戦であった

 

のに、時の政府要人達が戦争反対のゼネストの前に裏切り終戦を取り決めてしまった。

 

ドイツは戦争を止めたことにより膨大な賠償金を支払い国民は生活に窮した。そこに世界恐慌が襲い、多くのドイツ国民は路傍で餓

 

死した。ヒトラーはその時、国が戦争を止めたのはユダヤ人が仕掛けたからだという難民の声に耳を傾けた。この意見がヒトラーの

 

頭の中から消え去ることは生涯なかった。土地や国を持たないユダヤ人がドイツ国内に入り込んで、高い地位と職域や財産を得て

 

いる。更にドイツ人と混血化して、ドイツ人即ちアーリア人の長所、高い技術、芸術、科学まで乗っ取り、アーリア人の質は低下して

 

いく。これを止めないとドイツはユダヤ人に侵略されてしまう。それにはユダヤ人をドイツから締め出し、抹殺するしかない。ホロコー

 

ストを法制化し、収容所まで作って虐殺を目論んだ。このような強い民族主義は何も1940年代~1950年代だけの話ではなかった。

 

トランプが実行したアメリカファーストも日本の北にある周国家もプーチン国家も似たような政策を取っている。歴史は繰り返すのだ

 

から、いつポーンと弾けて第二第三のヒトラーが生まれるか予断を許さない。

 

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でもヒトラーがノーベル平和賞候補にノミネートされていたとは驚きだ。ドイツ国の為にクーデターを起こし「革命だ!」と叫び、多くの

 

窮民を救い、隣国から領地を奪い返し、産業も発展させた。

 

ドイツ国民は自信を持ち始め、ヒトラーは高い評価と賛同を得て、ドイツはヨーロッパで再びのし上って来る。第二次大戦に入る前の

 

ヒトラーはまだ狂気に芽生えてなかったと言える。でもノーベル平和賞って福祉・人権に貢献した授賞者はまだしも政治家の名前を

 

聞けば、全く漫画、笑っちゃう顔ぶれが並んでる。(1974佐藤栄作2002ジミー・カーター2009オバマ)アメリカのトランプでさえ、この

 

賞が取りたくて日本の安倍ちゃんにノーベル賞委員会に推薦するよう圧力かけていたというし、屁~輪賞でもくれてやれば喜んだか

 

もしれないね。ヒトラーはナチ総督になってから人格が豹変し、人類史上最大の悪魔に成り下がったが、そうなる以前に書いた「わ

 

が闘争」はコミックだけ読んだらナチ・バイブルだけでなく、ヒトラーを偏見なく読むに名作であると言える。本編は70年過ぎて著作権

 

が切れ、自由にドイツでも出版可能になったようだが、長編なのでコミックで読むことをお薦めする。

 

 

昨年横山秀夫氏の小説で「ノース・ライト」という建築家の主人公が話題になった。その中でブルーノ・タウト氏の椅子がテーマになっ

 

ていたが、そのタウト氏もヒトラーの迫害から逃れて日本に亡命❔脱出。〈然しタウト氏はユダヤ系ではなかった。〉

 

落ち着き先が高崎だるまの少林山洗心亭(6畳・42間)だった。タウト氏はアメリカに亡命したかったが、日本を経由してトルコへ行

 

き、その地イスタンブールで土と化した。今、群馬の森歴史博物館で氏の展覧会が開催されている。

 

タウトデザインの竹製品やら漆製品やら、可笑しな言い方になるがヒトラーが政権を握ったから、タウトが海を越えて来日し、日独合

 

作ハイブリッド工芸が世に残されることになった。然し日用品であった為にその多くは散逸して僅かである。歴史は時に面白い副産

 

物を残すものだ。ヒトラーの悪ばかり論じるのは容易い。然し少しはヒトラーの為したミラクル功績を垣間見るのも一興かと、一気呵

 

成に読み込んだコミックを手にそう思った。

 

(注)タウト同様ヒトラー政権でドイツを出国した著名人はアインシュタインを始めトーマス・マン、ベルトルト-ブレヒト等多数いる。当

 

然著名人でもアウシュビッツで迫害された人もいる。謹んでご冥福をお祈りしたい。