金閣寺
私は関東圏に長く住んでいるが、関西旅行は生涯でたった4度である。それも2度は修学旅行で、家族で行ったことが2度あるだけ。
それも未就学の時と社会人になって父親の付き添いで夜汽車で行ったのみ。美の殿堂「金閣寺」など目にしたことがない。一度は見
たいと思う。日光東照宮も日光見ずしてケッコーと言うなと言うが、あちらは装飾がギトギト過ぎて俗物の建造物。中尊寺の金色堂と
金閣寺のキンキラ金は冥途の土産に是非、お目目に植え付けておきたい建造物。
三島由紀夫の雑誌特集(1/11UP)の影響で金閣寺焼失の映画を二本見た。
ひとつは1958年大映映画 市川崑監督 市川雷蔵主演。
三島由紀夫原作とは少々内容が異なる。住職に映画化を反対された。然し驚異の粘りで寺名を変えるという条件で承諾を得た。若
い徒弟役は始め川口浩だったが、三島が雷蔵ファンだったので、私の推論だがごねて雷蔵に演じて欲しかったのではないだろ
うか。雷蔵は美剣士が売り物で随分会社内部で出演反対が多かった。それはそうだろうドモリでEDで放火魔を第一線の男優にやら
せたいわけがない。然し雷蔵本人が現代劇初として犯罪者役をやりたいと申しでたのだから、止めようがなくなった。映画は見てい
ても美男な雷蔵が痛々しくて見るに忍びなかった。
その点1976年高林陽一監督 篠田三郎主演
ATG映画はエロスにデス 徒弟役の倅の母親、今は亡き市原悦子さんのHシーンまで盛り込んだ三島がもし生きていたら、相当アレ
コレ揉めそうに出来上がった小説同名映画。前作から20年も経つと住職も五月蝿く注文しなかったのか、不思議に思うほど自由に
作られた作品。ストーリーは基本原作通りで前作「炎上」に似ているが、金閣寺を作った足利義満像の左目をくり抜くシーンは衝撃
的だった。放火して火中の金閣寺内にいるシーンは「炎上」の方がリアルに描かれているが、この時代シロクロだったので迫力の点
で「金閣寺」のカラーの方が殺伐感・空虚感は引き出せただろう。現実は青年僧林養賢は懲役7年、釈放後昭和31年結核で死亡し
た。享年26歳。放火動機はビートルズのジョン・レノンを射殺した犯人のように確たる動機は分からない。
《3層の内部はこのように美しい。放火犯人はここで燃焼したかったのだが、煙の凄まじさと3階が開戸しなかったため心中は諦めて、大文字山から金閣寺が燃えるのを眺めて、タバコをくゆらせていたという。》
金閣寺は私が生まれるちょっと前。胎内から後2カ月で世に出る間近放火された。金に糸目もつけず作った3層建造物も義満本人の
木像も釈迦三尊像も伊藤若冲の絵画も皆燃えカスになった。現在のように再びキンキラ金に輝きを取り戻し始めたのは1987年のこ
とだった。美しさに嫉妬して消滅してしまおうなんて考える人の思考経路は理解の他である。
《クィーンを描いたボヘミアン-ラプソディ映画には主役のフレディ・マーキュリーが
金閣寺の護符を見つめるシーンがある》
金閣寺は通称で正式には北山鹿苑寺。臨済宗のお寺。
最初は山荘だったが禅寺になった。釈迦の遺骨を安置する舎利殿。
1層は金箔張りではない寝殿作りの法水院。2層は書院作りの潮音洞
花頭窓を持つ3層は究竟頂である。天井と壁には金箔が押され、窓から外光も取り入れて、まばゆい光に満ちている。
屋根の頂には今にも飛び立とうとしている鳳凰。1万円札の裏にデザインされている。



