鴎外の「ヰタ・セクスアリス」をコミックで読む
明治の文豪と言うと夏目漱石と双璧とされるのが森鴎外。
その固いイメージの作家が時も時(明治ということ)
題も題、ヰタ・セクスアリス。何と少年なら小躍りしそうな
タイトルの小説を書いていた。私は小説を読んだことはないが
ずっとキタ・セクスアリスと思っていた。そしたらヰタ(ウィタ)
ゐのカタカナが「ヰ」、ラテン語で性欲的生活と言うんだそうな。
好奇心旺盛な中学時代に読んでおきたかったな。
この頃はいつもはち切れんばかりの欲望で漲っていて、
ヒトには理性や知性なんて絵空事な世界と思っていたし
獣性と野性で頭と下半身は発狂しそうだったことを思い出す。
マァ青春時代の欲望のやり場のなさを著名で軍医だった作家が明治の固~い「殖産興業」「富国強兵」の時代に書いて発売したん
だから、その勇気と蛮性に快哉を叫ぶ他ない。鴎外先生、あんたはホントに偉かった!
本書は発禁本となって鴎外はお咎めを受けた。でも江戸時代の戯作作家のように指先に楊枝を入れる拷問を受けるようなことはな
かった。何せ国に関連する軍医と言う職業だったからね。
ストーリーは金井湛(しずか)と言う哲学者が少年期から青年期迄、頭を朦朧とさせた性欲について綴った書である。6歳で春画を見
せられ、7歳で学校に通うと番所のおじさんに夜、お父さんとお母さんは何をしているのか、知っているかと言われ、「寝ている」と答
える。10歳、親の都合で東京へ引っ越すことになり、荷造りの中で春画を発見、浮世絵の逸物と自分の粗チンにコンプレックスを抱
く。
上京すると吉原花魁の話題や男色の攻撃に合い、勉強もドイツ語で猥褻な言語ばかり覚える気になった。手淫を覚え、兎に角寝れ
ば性的な妄想で頭はかく乱された。20歳になりやっと吉原で筆おろしを済ませた。鴎外はやがて国費でドイツ留学を得て、帰国後軍
隊に入隊するのだが、ドイツは日本より性的なことは先進国で、何不自由することなく処理できたようである。五月蝿い親も近隣のウ
ルサ型ピーチクパーチクもいないし、言わば旅の恥はかき捨て状態で
謳歌したと言える。
つまりは自己の性欲にまつわる回想記である。今回私が読んだコミックは青少年用に書かれたコミックのようで、セクシャルなシー
ンは描かれていない。ホントは早い時期に性教育は必要なものだと思うが、何せ事が事だけに親も先生も後回しにしてしまいがち
だ。
それでも明治期に生き物の原点、男女すべからく関心の高い「性」を扱った小説を発表したことは流石明治の文豪に相応しい業績
であったと思う。因みに森鴎外はドイツ人と結婚していたと思ったのは、こちらの偏見で帰国後日本人と結婚してました。蛇足ながら
付け加えておきます。

