金井真紀×道法正徳 「〇農の人」を読んで

 

金井真紀と言う作家は面白い人で前回も「虫嫌いはなおるのか?」を読んでBlogした。

 

今回も金井さんには未知の分野で農業について、一寸変わった人を見つけて決死のインタビューアタックを繰り返したようだ。この

 

道法さんと言う元JA  

 

農業技術指導員でいながら、先輩諸氏が連綿と教え繋いで来た野菜・果物作り等のABCを覆す疑問にぶち当たってしまった。紹介

 

したのは20年前から茶飲み友達のタベちゃん、何から何までチャンチャラ可笑しくて、JAから見れば深刻な問題だが、農家の人々

 

にとっては降って沸いた救いの神に当たるお話満載。日本にもケッコーユニークなはみ出しおじさんはいるんですな。そう思うと日本

 

の農業の将来も捨てたもんじゃない、明るい豊作、自給率UPが期待できますな。

 

最近の日本の農業は化学肥料と農薬で、手間暇かけて作物の収穫をするのが普通。しかし道法さんが20世紀後半知ってしまった

 

農法は化学肥料はいらない、農薬もいらない、手間暇もかけない。畑はほったらかして兎に角縛る方法を編み出した。ミカンの苗

 

木、トマトの枝、ぶどうの蔓、大根の葉っぱ等々、

 

SMの如く縛る。剪定も立枝を切れ、横枝は残せの前提があったが、そうすると実りが遅いのでその逆を敢行。すると例えばミカン栽

 

培では糖度が上がり、豊作になった。縛りも弱めが提唱されていたが、強めに縛ったほうが結果が良く出た。立枝を残す(有葉花)

 

―木が元気―肥料は少し―病害虫が減る―農薬も減る―手間コストいらぬ―ミカンの糖度(12)が上がる。道法式の農法はいいこ

 

と尽くの結果が出たのだった。

 

 

道法さんも組織の一員だから、今まで先輩が伝えて来たやり方を勝手に変えては角が立つ。でも農家の人は喜ぶ。内緒にやって来

 

たが、いつかはばれる。道法さんは左遷に次ぐ左遷で、ついに52歳でJAを退職することにした。後は個別指導のセミナーを開いて

 

希望者を募った。今全国、海外にも道法さんのお金のかからない、実りの大きい農法が広がっている。確かに農業は難しい.温度

 

のこと、水のこと、土のこと、季節のこと、総合的に農業は模索しなければならない。道法さんのやり方が正解ではないし、戦後75

 

前発足した農協の知恵が完璧であるはずもない。これが分かれば不作も凶作もない農業であるはずだ。

 

道法さんの農法に心酔してキウイを栽培している元教師がいる。実家が農家で長男なので昔の封建社会に乗っ取って家を継いだ。

 

でも親父のやり方には疑問を持ち、自ら家から遠い畑地で親父に見えないように道法式で栽培している。今の所道法式の方が収穫

 

が多い。しかしJA果樹部門会長職にある父親の長年のやり方、化学肥料と農薬栽培を真っ向から否定する意見はまだ当分言えま

 

いね。

 

ここに登場する道法式の農法を引き継いでいる7人が本書に出てくるが、金井さんに言わせると全員パンクな曲者揃い。顔ぶれは

 

次の通り:

 

 

道法さんが長年担当したミカンの歴史のことも書いてあるが、面白いなと思ったのは昭和30年代から40年代、温州ミカンはバカ売れ

 

した。私も炬燵で正月家族団らんで良くミカンを食べたな。1975366万トン日本の全家庭は温州ミカンの皮を剝いて年を越したと

 

言っても過言ではない。然し江戸時代はこのミカン、種がないのは縁起が悪い、子種がないと敬遠された。江戸時代は温州ミカンよ

 

り甘くないが、種がある紀州ミカンが人気だったとさ。馬鹿らしい話だね〈種〉 落ちもよろしいようで、これにてミカンの話は未完にお

 

わる~う!

 

<オマケ>長年科学雑誌「NEWTON」のアンケートをしているが、12月号に「土」の特集をしていた。岩石が細かくなってできたものが「砂」「粘土」生き物の死骸が混ざり合って出来たものが「土」なんだそうな。掌に掬った10gの土の中には約100万種、100億個の細菌が含まれている。土って侮れないね。下記にアンケートで書いた文章を掲載してお開きとする。

 

目から鱗の土の話。成程痩せた土地で幾ら種を蒔いても実はならずはそう言う土に問題があるから実を結ばないのか。だから化学肥料で酸性を中和して、土の成分を変化させる。それでも土に微生物を増やす試みをしてなければ芽は出てこない。農業は難しい。お天道様の光と雷様の水だけで畑は潤うものだと思っていた。オデッセイと言う映画では水と肥料〈便〉だけでジャガイモを作っていたが、実際火星でホント野菜栽培は出来るのかな土に細菌がいない訳だから即効では実は結ばないだろうな。肥料も農薬もやらないでミカンは甘く、大量に実ると言う道法正徳さんが火星に行ったら,同じミカンが実るだろうか。

是非次回は縛る農法でみかん等栽培している道法さんの特集を期待しています。