2021年7月の県知事選挙において自民党と維新の会の推薦を受けて当選した斉藤県知事について、数々の疑惑が浮上しています。発端は、西播磨県民局長が今年3月に兵庫県知事について7項目の内部告発でした。県知事は内部告発について当初「事実無根」「嘘八百」「公務員失格」と完全否定し、3月末で定年退職するはずの県民局長は退職を認めずに処分しました(つまり退職金は不支給)。

 その後、事実であったことが次々と明らかになり、兵庫県議会では内部告発の内容の真偽を調査するための百条委員会を設置して審議しています。百条委員会とは、地方自治法100条に基づく委員会で強力な調査権限があり、ウソの証言をした場合には偽証罪に問われます。

 

 オネダリやパワハラは分かりやすいので注目されていますが、法的政治的には、補助金カットをちらつかせた政治資金パーティ券の押し売り疑惑や、昨年のプロ野球の優勝パレードの協賛金集めでの補助金のキックバック疑惑の方が深刻な問題と桜井シュウは考えます。百条委員会で事実を明らかにされることを期待します。

 そもそも内部告発への対応が不適切であったことだけでも大問題で、斉藤県知事は辞職すべきです。第一に客観的調査を行わずに県知事が「嘘八百」と断定したこと、第二に内部告発者を特定したこと(犯人捜し)、第三に告発者の不利益処分を行ったことなどは、いずれも公益通報者保護法違反の可能性が高いからです。

 また、兵庫県は、内部調査で「全ての事案で核心的な部分が事実ではない」「文書は誹謗中傷」と認定し、県民局長に停職3ヶ月の処分を行いました。しかし、その後に核心的な部分での事実が明らかになりました。誤った調査を行った兵庫県の担当者の責任も問われるべきです。

 

 マスコミは、当初は内部告発を「怪文書」と報じるなど、あまり注目はしていませんでした。ところが、百条委員会が立ち上がり、内部告発者が死亡した後には連日、報道するようになっています。東京都の舛添都知事が辞職に追い込まれたときの状況に似てきているようにも思います。斉藤県知事が辞職すれば、県知事選挙が執行されます。今度こそまっとうな県知事を選べるように力を尽くしてまいります。前回は悔しい思いをしましたので。