東北関東大震災の報道の影に隠れてしまい、大きくは取り上げられませんでしたが、3月23日(水)に最高裁判所で、2009年の衆議院議員選挙における一票の格差についての判決がありました。この判決の中で「できるだけ速やかに区割り基準(衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条において定める基準)中の1人別枠方式を廃止し、区画審設置法3条1項の趣旨(一票の格差を2倍以内にする)に沿って区画規定を改正するなど、投票価値の平等の要請にかなう立法的措置を講ずる必要がある」と述べられ、一票の格差の主たる原因となっている1人別枠方式の廃止を迫りました。
 一票の価値の平等は、民主政の基本中の基本です。ある人には1票だけど、別の人には0.5票しかないというのでは、国民一人一人の意見を等しく尊重することにはなりません。ようやく、日本も一票の価値をなるべく等しくしようという方向に一歩踏み出したということで、当たり前のことが当たり前になる方向に進み始めました。
 次は、この判決を受けて、2010年の国勢調査に基づいて、一人別枠方式を廃止したカタチで衆院小選挙区の区割りがなされることが必要となります。具体的には、区画審設置法3条2項の「各都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数は、一に、公職選挙法第4条1項に規定する衆議院小選挙区選出議員の定数に相当する数から都道府県の数を控除した数を人口に比例して各都道府県に配当した和を加えた数とする」の改正が必要となります。速やかな法改正を期待します。