抱きしめてくれてる

彼の温もりが

すごく落ち着く








「怖かったことを、そう簡単に忘れられるわけないよ。無理することないよ。

ねぇ、旦那さんのこと思い出してダメだと思ったのは、車に乗せられそうになったときだけ?」




「人混みで急に聞こえる低い声とか…、結構いい速さで歩いてくる人とか…、私に向けられたものじゃないって分かってても………体が強張って……震えちゃったり……呼吸しづらかったり………」



「それ、離婚してからずっと?」



「うん……。普通に生活できない、こんな…………私で……………ごめんネ………」



「こんななんて言うな!」



「K………私…………心配かけてばっかり……。実はちょっとパニックになってくると……体の感覚………ないの………」



「それ、いつから!?」



「旦那とのことがあってからかな。最初は過呼吸でそうなってるのかと思ったけど、過呼吸じゃないときも感覚ないし………。だから、自傷行為自体も多少の痛みだけで、ほぼ感じてない」



「美紗…1人で頑張ってたんだね」





“トントントン”


「入るよ。って、K先生、患者さんに手出しちゃダメですよ(笑)」



「出してません。大切な彼女を抱きしめちゃダメな事なんてないですよね(笑)」








彼が抱きしめてるのを見て

からかってくる颯真