引っ越しが決まって
少しずつ荷物を運ぶことになった
「そうと決まれば、早々に引っ越しておいで!荷持は多い?もう、今日からこっちで寝泊まりして、少しずつ荷物運んできてもいいし」
「荷物は結構あるけど、とりあえず、帰ってくる時に数日分の着替えとか必要なものだけ持ってくる」
「じゃあ、帰りに美紗の家に寄って持ってこよう。まずは、とりあえずクリニック行こうか」
彼と一緒に
颯真のクリニックへ向かった
いつものように裏から入り
彼がいつも使っている
カウンセリングルームへ
“トントントン”
「Kくん、美紗と話する前にタイムカードはちゃんと押してね。
美紗、今日はKくんとゆっくり話してて。あとで俺も空き時間にちょっと顔出すよ」
「ありがとう。カウンセリングじゃなくていいの?」
「カウンセリングだよ。ただ、Kくんとゆっくり話せたほうが気持ちもリラックスできるんじゃない?今日、Kくんのカウンセリングは休診になってるから、独り占めしてゆっくり話してて」
颯真は診察へ向かった
「美紗、1人になりたくないって、何か理由あるの?」
「車に乗せられそうになったのが1番かな…………あの時…………ほぼ……抵抗できなかったの…………。
腕…つかまれて、それだけでもパニックだったのに……背中から押し込まれそうになって……………」
「怖かったよね」
「ホントはあの日、すぐに、Kに会いたかった……………でも、電話出来なかった…………。なんか……自分が穢れてる気がして…………車で震えだけ抑えて…帰ってくるのが、やっとだった……」
「美紗…ホントに、何もされてないんだよね?」
「うん…………。ただ、旦那とのことを思い出してしまって……………やっぱり…まだダメみたい………」
少し震えてる私を
思いっきり抱きしめてくれた
そのまま
抱きしめたまま話を聞いてくれた