皇紀くんに声をかけてもらって
すごくホっとした







「声かけてもらって…助かったの。多分、あのままだったら、途中で倒れてたかも


「エッ!美紗ちゃん、やっぱりどこか悪いの?」


「私ね、過呼吸の発作起こしたり、たまに、突然、意識なくなることがあるの……。やめてって言ってもやめてくれない淳くんにフラッシュバッグを起こしてしまってて………ホントにありがとう」


「淳には怒られたけど、やっぱり声かけて良かった。店に来た時からってことは、車の中で何かされたとか?」


「ううん。車の中では何も無いよ。
昨日も、前に会ったときも、強引に手を引かれて、助手席に乗せられちゃったの。前回は告白されたあとに、無理やりキスされそうになって………………怖くて………そんな姿が離婚前の旦那と重なって……………」


「淳がそんな事してたのか……………ホント、ゴメンネ。嫌なこと思い出させてしまって」







皇紀くんは悪くないのに
代わりに謝ってくれた







「美紗、昨日、軽い発作を起こしてたと思うんだ。それを必死に1人でなんとかしようと思ってて、そんな時に皇紀が気付いてくれて、ホント、助かった。たまたま寄っただけだったけど、そのままクリニックに戻ってたらって考えると、マジでゾッとする」


「ちょっと様子がおかしかったから、気になっただけですよ。Kさん、来店してすぐ、奥に行くし、美紗ちゃんと知り合いっぽいし。昨日は、驚くことばっかりでした。
いつもケーキ買ってくれてたから、甘いもの好きなんだなぁって思ってたけど美紗ちゃんへのお土産だったんですね。初めて来てくれた美紗ちゃんが食べたことあるって言うし……」


「俺も甘いの好きだけど、昨日は、ケーキ買って、久しぶりに美紗に連絡して会おうと思って…。
だから、休憩にここに寄って、おみやげにケーキ買って帰ろうかなって………。
美紗っぽい声が聞こえて………まさかと思って見たら、知らない男と一緒で、しかも抱きしめられてて…しかも泣いてるし、震えてるし。若干パニック…」


「パニクってるようには見えなかったけど。Kさんでもそんな事をあるんですね」


「K、私のことになると、結構、余裕ないときあるの。それだけ心配かけちゃってるんだけど………。私はKのこと大好きだし、K以外考えられないから、浮気なんて考えたことないけど………K…すごいヤキモチ焼きだからね」


「美紗ちゃんって、そんなにはっきり、人前で大好きとか、気持ち伝える人なんだね。聞いてるこっちが照れる」


「前は全く言わなかったよ。やっとここまで気持ちを言ってくれるようになったんだ。
気持ちを伝えてくれるようになって、離婚もして、今は、なおさらキレイになって、ホント、心配で仕方ない。1人でいたら子どもがいるように見えないし!」


「それ、俺も思いました。淳と同じ歳くらいだと思ってから。年上って聞いてビックリだったんで…普通にナンパとかされてるんじゃない?」


「ナンパ?なのかな……。こえかけられることは前からあったよ。でも最近、声かけられる率が多くて、1人で外歩いてるの、ちょっと怖いんだよね」


「美紗が怖いと思うって、どんな声のかけられ方されてるの?それ、絶対ナンパじゃん」


「えっ?………あっ!!そうなんだ。断ってるのに結構、しつこく付いて来られたり…………声かけられる時に肩触られたり……腕掴まれたり……?」


「マジかぁ……………。美紗、それかなり怖いんじゃない?」


「だから、ほとんど約束ないと出掛けないし、買い物も近所のスーパーとか子どもと一緒の時にしかいけない」


「それはどうにかしないと…だね。外に出るの好きなのに、出れないのはストレスでしょ?段々キレイになってきて、声かけられること増えるのかなって思うけど、しつこく声かけられるとか考えてなかった



離婚してから、なぜか、声かけられたり、付き合って欲しいって言われること多くなって、ちょっと驚いてる………。それがストレスにもなってる気がするし


「今までも充分、美人だったけど、ミステリアスな雰囲気が話しかけにくい感じだったんじゃないかな。それが、離婚してから表情明るくなったから、声かけやすくなったんじゃない?それにしても、ナンパされてるだけじゃなくて、付き合って欲しいって、誰に告白されたの?何人に?」


「美紗ちゃん、モテモテ…………でも、Kさん、気が気じゃないですね」


「えーっと…………淳くん入れて4人!?」







告白されたのは
言わないのつもりだったのに
思いがけず言ってしまい
咄嗟に誤魔化したけど
彼にはそんなの通用しなくて
すぐにバレてしまった