後ろから名前を呼ばれて
驚いて振り向いた







「聞こえて来た声が、そうかなって」


「えっ?あっ!K……どうして?もう!淳くん、離して!」







力を振り絞り
淳くんを突き飛ばした







「美紗さん…………何で?」


「今日、出張のカウンセリング、ここの近くだったから休憩に寄ったんだけど……。その子、誰?」


「あっ、近所の子で………淳くん」


「近所の子………ねぇ………」


「ホントに大丈夫?邪魔も入っちゃうし、このまま、ゆっくり休めるところ行く?






ゆっくり休めるところって………
その言葉にまた怖くなり
落ち着いてたのに
また震えだした







「行かない!ホントにもう大丈夫だから」







彼の前でそんな事を言われ
思わず声を荒げてしまう
あからさまに不機嫌な彼
淳くんが離れた瞬間に
私を自分の方に引き寄せ
抱きしめた

震えてる私を抱きしめながら
周りには聞こえないように囁いた







「顔色は悪いし震えてるけど、大丈夫か?」

「……怖い………Kが来てくれて…ホントに良かった……ありがとう。もう大丈夫………」

大丈夫って………。あとは俺に任せろ」


「あんた、誰だよ!名前くらい名乗れよ」


「あぁ、ゴメン。名乗るのが遅くなって。俺は美紗とお付き合いさせてもらってる、Kです。で、美紗の車がないってことは、偶然ここで会ったわけじゃなくて、ここまでは君の車で来てるよね?」


「ふ〜ん。あんたが美紗さんの…………。今日、俺達、デートなんで、邪魔しないでもらえますか?これから、もっと楽しもうと思ってたし。なんなら、今日、俺のものにしてしまおうかと計画してたのに」







淳くんも負けじと
私を彼から引き離し
また自分の方に引き寄せた







「美紗はものじゃない!ちゃんと心がある1人の人間だよ。美紗の気持ち無視して、俺から奪って何がしたいわけ?」


「淳!やめろって!」


「淳くん!イヤ!やめて!」







私が更に声を荒げたところで
再び彼に引き寄せられて
抱きしめられた