皇紀くんが
震えてる私が落ち着くように
お手製のケーキをごちそうしてくれた







「このケーキ………」


「毎日、だいたいは違うの作って出してるんだけど、今日はマロンケーキ」


「見たことある気がする」


「美紗ちゃん、俺の店、初めてだよね?」


「うん。でも、この味は知ってる……………」
 

「じゃあ、テイクアウトしてくれる人もいるから、そういうので食べてくれてたかな?」






いつも彼が買ってきてくれるケーキ
皇紀くんのケーキをたべると
なぜか気持ちも落ち着く
今までは
どんな人が作ってるんだろうって思ってたけど
なんとなく落ち着けるのが
何でか分かった
作ってる人が皇紀くんだからかも



  

「この味、結構食べてる。いつも彼が買ってきてくれてて、どこのケーキ屋さんか気になってたの。私、皇紀くんのケーキ大好きなんだ」


「えっ!じゃあ、常連さんの彼女さんってことだよね?誰だろ?俺のケーキ大好きって、めちゃくちゃ嬉しい!彼氏さん、仕事、何してるの?」


「今はカウンセラー。少し前は運転代行の仕事してたけど……


「えっ!もしかして、彼氏って………K…さん?」


「そう!えっ、何で?」


「淳はいい奴かもしれないけど、ちょっと俺様的なところあるのが、玉に傷かな…。ましてや、Kさんの彼女なら、淳の方がいい男だよって、絶対言えない。だから、美紗ちゃん、俺と付き合わない?ケーキも食べれるよ!何て…ね!」


「ふふっ…ケーキ食べれるのは嬉しいけど、彼氏いるから無理です。淳くんが、いい子なのは小さい頃から変わらないけど、俺様的な感じなのは、何となく分かるかも…


「皇紀さん、余計なこと言わないで」


「えっ?ちょっと……………ん?小さい頃から?」


「美紗さんは、俺が小さい頃から大好き人…」


「えっ?もしかして、美紗ちゃんって淳の初恋の?えっ、じゃあ…………えっっ?いつも話してた近所のお姉さん?」


「先輩にどんな話してたの?」


「大好きな初恋の近所のお姉さん…って話をいつも聞かされてて…。えっ!じゃあ、美紗ちゃんって……… えっ、俺が聞いてた話だと、子どもいるよね?
そんなふうには、全然…見えない!」


「2人いるんだよ」


「マジかぁー!こんなキレイなお母さん、羨ましいわー。年上のお姉さんなのに、きれいで、可愛いって………最高じゃん」


「そんなことない。もう、2人して、からかわないで!」


「マジで、からかってないよ。俺、キレイな年上の女の人、大好き。
見た目、全然、20代前半でも通用するよ。
あっ!でも、子どもいるなら、淳が入る隙間ないんじゃね?
あれ?ん?美紗ちゃん、彼氏いるって、シングル?」


「……うん。最近、離婚してシングルになったばっかり」


「淳、それ知ってて告白したの?」


「いや、離婚したのは、知らなかった。付き合ってる人の事も知らなかったし。それに、この前、久しぶりに会って美紗さんの顔見たときに、付き合ってる人がいる割に、何か、寂しそうだったんだよ」






今の私に“寂しそう”は
グサッと刺さるワードで
それをサラッと言う淳くん