震える手を
淳くんには気付かれないように
平静を装う
離れてもずっと見つめられてることも
ちょっと恐怖………
「俺……本気だよ。ずっと前から、美紗さんのこと好きなんだ」
「だって、私、子どももいるし、淳くん、大学生でしょ?」
「大学生だとダメなの?美紗さん、俺が中学生のとき、年上だけど好きな人がいるって相談したら、好きなら年上でも年下でも年齢差なんて関係ないって言ったじゃん」
「えっ!待って……もしかして………その頃から?」
「もっと前からだよ。美紗さんは俺の初恋の人で、小さい時から美紗さんのこと…ずっと好きだよ。美紗さん、前は指輪してたのに、今日してないから、旦那さんと仲悪いのかなって思って、もしかしたら、俺にも希望あるかもって…………俺じゃダメ?」
指輪してないことにも
気付くくらい
いつも私のこと気にしてたってこと?
隠しても仕方ないことだし
ちゃんと話したほうがいいと思った
「私ね、最近、離婚したの………」
「じゃあ、問題ないじゃん」
「でも、今、付き合ってる人がいるの!彼のこと大切に思ってるし、それに、彼、私に対して過保護だし、嫉妬もすごいの………」
「えっ!束縛とかされてるの?」
「束縛なんてされてないよ」
「じゃあ、たまに会ってランチとかドライブとかしょうよ?」
「それも難しいかな」
「それは俺がまだ、大学生だから?それとも美紗さん…彼氏持ちだから?」
「淳くんは、無邪気でかわいいところもあるけど、でも、人の気持ちも考えて理解できるでしょ?
淳くんは、まだ、ホントの恋愛したことないから、私のことを好きだって思い込んでるだけだよ。
淳くんに対して恋愛感情が持てないし、きっと、この先も淳くんを好きになることはないと思う。
だから、淳くんの気持ちには応えられない………」
「チャンスもない感じ?
これから、一緒にランチしたり、ドライブしたりして俺の事、好きになることはないの?
“小さい時から知ってる近所の子”じゃなくて“1人の男”として見て欲しい。俺、もう大人だよ。俺のこと、ちゃんと男として見てくれたら、気が変わったりすることもないの?」
「私が、今、付き合ってる彼ね、私にとって、とても大切な人なの。彼が居なかったら、私はこの世に居なかったと思うし、この先もずっとそばにいて欲しい人なの。だから、彼に対して後ろめたいと思う気持ちを少しでも持ってたくないの」
「じゃあ、勝手に好きでいるならいいでしょ?だから、たまに、今日みたいに茶したりしようよ」
「だから、ドライブとかは…………」
言い終わる前に
話を遮られてしまった