お泊りデートなんて

考えてもいなかっただけに

彼と手を繋いでデート

すごく嬉しかった


食欲が落ちている私には

旅館の豪華な夕食多すぎるけど

予約の段階で

私が食事を残すことに抵抗があることを

知っていた颯真が伝えてくれてたから

料理は全て少しずつになっていた




“コンコンコン”



「お楽しみのところ、失礼致します。当館、支配人のMと申します。Nと颯真とは医大時代の同期生で、お2人には贔屓にして頂いてます。今回のように、新しいお客様とのご縁を繋いで頂けること、誠に感謝しています。

もし、体調がすぐれないなどございましたら、ご遠慮なくお申し付けください。私も医師免許は持ってますので、応急処置などは可能です」



「ありがとうございます。颯真さんから念のためと、点滴だけ預かってきてますので、もし、何かあればよろしくお願いします。

Mさんも医師免許をお持ちなんて、すごいですね。専門は何科ですか?」



「専門は精神科です。颯真とは、分野的に似てるんですよ」



「あのー、Mさん、お久しぶり…………ですよね?」



「覚えていらっしゃいましたか?」



「Aの葬儀の時に………お会いしてますよね?」



「美紗?」



「大丈夫!ちょっと驚いただけ…………。色々…お気遣い頂き……ありがとうございます。3日間……お世話になります」



「美紗さん、大丈夫ですか?」



「ちょっと休む?」



「ううん。平気。

Mさん、ご心配おかけしました。大丈夫です」



「そうですか?何かありましたら、何なりと申し付けください。それでは、ごゆっくりお過ごしください」






旅館側の心遣いと気遣いに

N先生と颯真が

色々伝えててくれたみたい





「美紗!」



「あっ、ゴメン…………。平気だよ。ホントに驚いただけ」



「それならいいけど………。大丈夫って言うから……」



「まさか、ここでAのお葬式で会ったことある人が支配人だなんでなんて思ってなかったし、ちょっとだけ、あと時のことがフラッシュバックしたけど、今はもう、何ともないよ」



「それならいいけど……冷めないうちに食べよう」







その後は料理を満喫した