私は小学校2年生から中学校3年生までの間お母さんと2人で暮していました。

お母さんは統合失調症という精神の病を患っていて、特に妄想が酷く、いつも私の知らない誰かと会話をしていました。楽しそうに笑うお母さん。でも私が呼んでも反応してくれません。体は私の方を向いているのに、私の向こう側に見える誰かと話すのに夢中になっていたのです。
やっと私の目を見たかと思うと、「お前は騙されている」と、突然怒りだす。私は、意味のわからない叱責に(またか)と諦めの表情を見せつつ、お母さんの理不尽な怒りを受け止め続けました。
こんな生活が毎日、何年も続いていました。

しかし、それも突然終わりが来ます。
平成15年10月、お母さんは措置入院で家を離れ、私は一時的に中学の校長先生の家でお世話になった後、11月3日から下宿で暮らすことになりました。下宿で自分だけの部屋をもらえたとき、やっと解放された、そう思えました。
だから今日11月3日は、私にとって忘れられない記念日なのです。

あれから15年、私は少しでも大人になれたかな?
ひとりで頑張っていた14歳の私に、29歳の私はなんて声をかけよう。

そんなことを、毎年この時期になったら考えるのです。