よく降った。
雨上がりの空を感じながら庭を歩いた。
あじさいの花を見たいと思ったのだ。
そんなに広い庭ではないからだいたいの場所は分かっている。
手を前に差し出してそろりそろりと歩く。
迷うことなく到着。
我ながら方向感覚の良さを実感する。
どや顔でつい微笑んでしまう。
あじさいの大きな花をいくつも確認できた。
活き活きと存在している。
僕はその花を包み込むように両方の掌でそっと触る。
ちょっとだけ息をとめて掌の感覚に集中する。
僕のどや顔は消えて、その姿に感謝の笑顔になる。
あじさいはやっぱり雨が好きなんだなと思う。
色はピンクらしい。
手の甲に当たった葉の緑いろも鮮やかに蘇る。
まだ色を覚えていてくれている脳にありがとうと言いたくなる。
それから空を眺める