この世に生まれ

はらはらと
消えゆくのが定めなら


朽ちる間の一瞬を
どうか貴方のその掌で
その温かさで
溶かして欲しいと願うだけ


香りさえも残さずに
去りゆくのが定めなら


どうか貴方の瞳の奥に
その一瞬
映して欲しいと



はらはらはらはら
舞い降りて
儚くはかなく
溶けてゆく‥

その一瞬を‥



不香の花







#21るん詩の世界 
不香の花…Hukyounohana





         香りのない花「不香の花」
                 雪の異名





美しい日本語に触れると、詩情が動きだすのを感じます。


これまで私が書いてきた詩には、美しい日本語からインスピレーションし完成したものがいくつもあります。



日本語には、自然豊かな風景や、四季折々の移ろい、人々の心情などから生まれたものも数多く、ひとつひとつこの手に乗せ、想いを馳せたくなるものばかり。



きっと今よりずっと、季節の流れに敏感で、風の音も波音も、雲の流れも空の蒼さも人々の暮らしにすっと溶け込み、


花鳥風月を愛で、雪月風花を慈しみ、風に吹かれ、時に月に涙し、時に空の星に願いを込め、詩歌を作り、限りある「今」をただ精一杯生きていたのでしょう。



今ほど物もなく、便利では決してなかった時代を経て、今日まで受け継がれてきた日本語は、昔と今を繋ぐ短い手紙のよう。



たくさんある日本語を並べ、今日もこうして言葉遊びに耽れることを、はるか遠く昔の人々に感謝しながら


現代に残してくれた短い手紙を紡ぎ合わせ、これからも言葉を綴れたならば幸せです。