桜井さん、なんだか知らんがすまん。とりあえずあやまっとく!
まず、「山にでもこもりたい」とのことですが、山にこもってました!
それから、「虫苦手」とのことですが、浴びるほど虫にまみれてました!
毎年、夏季限定で、ブログをやっています。
「ムシバム」といいます。
虫のアルバムだから「ムシバム」です(アクセント「シ」にあり)。
もちろん「蝕(むしば)む」ともかけています。
素敵なカマドウマやかわいい蛾、スマートなアシナガグモなどなど、群馬の山小屋の「室内」に跋扈する虫たちの様子を激写、鑑賞、(無理やり)愛玩するブログです。
これをやっていると、「長嶋さんは虫が大好きなんですね」などと誤解する人がいるのですが、そうではありません。
では逆に聞きたい(オシム風)。なぜ虫を好きだと思うのか、と。ブログで紹介しているから? ではなぜ「ブログで紹介する」=「それが好き」なのか。
それは、これまでの多くのブログが「好きなもの紹介」に満ちているからです。
実は、このブログは、虫を便宜的に用いた「ブログ批評」なのでもあります。
なんで皆、誰も彼も「ブログで好きなもの」を語るか! という。
いやいや。それこそ「あんた最高だ!」という叫びこそが表現のモチベーションの基礎中の基礎。それを否定してどうする。
おっしゃるとおりです。
でも、巷のブログって、本当に「あんた最高だ!」なのかなぁ。「あんた最高だ! といってる俺最高だ」なブログも多くないか?
「今日みえた夕焼け空がキレイだった」だとか「カフェでこれから食べるケーキを携帯で撮りました」とか、あと多いのが「路地裏でみかけた猫」! これ、もっぱらアイドルのブログに多い。
どの人にとっても、キレイな空やケーキや猫との「出会い」は、かけがいのないものだろう。誰もそれを否定できない。だから皆、堂々と載せる。
そういったブログをたくさんみているとだんだん「それらとであった『自分』の記憶」が大事なようにもみえてくる。
自己愛も立派な愛のうち。だけど「表現」ってそればっかりでもないはずだ。
Webというのが、大勢の意識の集合体であるならば。ほとんどのことは発言しなくていい(誰かが自分のかわりにそのことをもっと上手にいってくれている)という気になる。
皆が皆の「好きなもの」をWebに載せていくことで、どのブログの「顔」も似たものになるのは、「世界」の顔がのっぺりと一様になっていくようだ。なんだかこー、網羅されてない! というか、世界のバランスが悪いぜ!
俺がバランスをとってやる! などという、とてもヒネクレタ考えでやっている「ムシバム」ですが、これが非常に、人気がない!(そりゃそうだよ!)
そこで今年は考えました。人気者を山に呼んでブログに載せて、客寄せをしよう、と。
選ばれた客寄せパンダは二名。
まず一人目は若手バンドでピカイチの実力、七月に武道館公演を成功させたばかりのGOING UNDER GROUNDのリーダーにしてドラマー、河野丈洋さん!
それから、我らが桜井秀俊が文庫解説を書いたことでも話題沸騰! 作家の中村航さん!
この二名がブログに登場するよと期待させて、実際には虫ばかりをみせる作戦を思いついた。
たとえば、格好よくベースギターをつまびく河野さんを撮影! と思ったら手前に虫が!
カマドウマと二人の仲良しショットを撮影、と思ったらピントがカマドウマにだけあってる!
とか、そういう写真ばかり撮りました。必ず二人の姿は見切れているかボケていて、虫ばかり延々みせられる。
おかげでアクセス数もあがってきています。皆、どんな思いでみてるんだろう。
「河野さんのプライベートショットがみられて感謝です!」とかいう声がまったくありません(当たり前だ)。
今、悩んでいるのは、オチ。
最終的に二人の画像を載せるかどうか、ということです。
載せないと詐欺めいているし、載せてしまうと、その画像にだけピンポイントでリンクをはられて、虫をみてもらえないかもしれない。
画像ソフトの透加工処理で、素敵な二人にうっすら重なって、巨大カマドウマが必ず背後に、いや手前にみえるようにしようか(なんでそうまでして!)。
それもこれも、新たなブログ表現の模索なのです。
http://moon.ap.teacup.com/mushi/
虫と、二人のパンダに興味のある方は「ムシバム」みにきてください。
そういえば河野君ギター、中村さんボーカル、俺ベースでセッションもしました。通称「ヤマロックフェス」です。
来年は桜井さんも(パンダとして)きてください。錆びたギターをかきならしに! そして、布団にもぐりこんでくる愛らしいハサミムシと戯れてください! 噛むけど。
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えー、別名のブルボン小林名義で新刊「ぐっとくる題名」を刊行します。映画や音楽、小説などさまざまな「題名」について考察、鑑賞した本です。真心ブラザーズの曲名も一つ取り上げている上に、その曲名の由来について桜井さんからコメントまでもらってしまった。ので、是非ご一読を。9/10発売。中公新書ラクレ刊。