キーボードの渡辺シュンスケくん曰く、


「カレーライスを食べるとき、最後にご飯を少量残しておき、それをもって皿についたルーを拭うように食べます。完食した際、皿は真っ白な状態です。」


 どのような主旨でそのような行為を、と問うたところ、つまりはお米が好きなのであると。カレーとお米の主従関係が最後まで貫かれることが耐えがたいと。ずっとカレーの「受け」として働いてきたお米。健気なお米で最後に花形のカレーを拭うことによってその主従関係を逆転させ、カレーをいわば塩おにぎりの塩扱いすることによって、大好きなおコメちゃんのメンツを立ててあげるのだ、と、彼は言うのです。


 シュンスケくんは以前、某国民的ボーカルユニットのバックミュージシャンとして彼らのツアーに同行していた折、ある会場でその話をすることになったそうな。ひととおり説明し終えた後、数万人の観客は水を打ったように静まり返ったそうです。コンサートのヴァイブレーションに著しい損害を与え、己の信条はつゆほども伝わらず、彼は大きな心の傷を負うことになりました。


 しかしながら、私は彼へのシンパシーを禁じえません。カレーを拭いこそしませんが…彼のおコメちゃん愛、それに関しては十二分な共感を覚えます。


 旨いのは言わずもがな。新潟には中身が白飯オンリーという大胆な駅弁があるという話を聞いたことがあります。コメそのものに、絶対の自信があればこそ。非常にかっこよいと思います。


 旨さだけではありません。喉元を過ぎた後の至福の充実感よ。


 インスタントのラーメンとか、実に旨いです。そのクオリティは日進月歩、そりゃもう、大拍手。でもやっぱり、食べ終わった後の体が喜んでいる感、どうしようもなく薄い。罪悪感すら覚えるほどに。それに比べてどんぶり飯かっくらった後の充実感、みなぎる元気、半端ねえっす。競技前にパスタなんか推奨するアスリートとかいますが、断然おコメちゃんでしょ。にぎりめしでしょ。力の出具合がぶっちぎりだと想うのですが、いかが。だれか、科学者、調べて。なんらかの数字で示して。ガッテンさせて。


 お酒もやはり、日本酒が一番。すぐ酔っ払っちゃうけど。なんでですかね、これ。同じような度数のワインとか一本いけるのに、お酒は3合いただいたら腰からくだけちまいます。俺たちのDNA に直接効いてくる感じがあるのですが、その辺も、いかが。科学者、これもガッテンさせて。


 あらゆるおかずの受けを芸術的にこなす白米。そいつでこしらえたお酒の受け能力が、他の追随を許さないのは自明の理。麦?芋?旨いけどね、コメに比べりゃ弱い弱い。いわんやブドウをや。ブドウ、果物じゃん。そもそもおかずを受ける器じゃないじゃん。デザートじゃん。寿司屋で白ワインとか飲んでる奴、ま、いいけどね。好きなもん呑んでんだからね。余計なお世話ですか。失敬。


 ちなみにイタリアンにワインが合うのは、あれはオリーブとの親和性からくるものではないかと考えるのですが、いかが。ブドウとオリーブ、木の実のちから。


 話がヨーロッパに飛んでしまいました。戻します。ドメスティック、お米。


 炭水化物ダイエットとかいいますが、お米は食わねえと力でねえぞ。痩せたい気持ちもわかります。でも、活力を失って世界に負けては本末転倒。炭水化物、削るならパンとか麺にしときな。玄米食ってりゃ痩せても元気。MB'sドラムのビバさんは、玄米持ち歩いてます(笑)。スリムです。ゲージュー半ばで「スピード」叩いてます。


 


 ツアー、始まったのです。


 来週、日本一の米処、新潟へ行くのです。初めて新潟に行ったライブの打ち上げ、塩焼きのブリカマで喰った炊きたての銀シャリ、衝撃でした。金色の稲穂の海をジャンプするぶりっぶりのブリ、そんなイメージ。一生忘れないと思います。今回も食えるかな。


 日本酒、買います。かき入れます。免税店でブランド化粧品をあさりまくるOL のように、いや、それ以上に。伝説の白米弁当も、今回こそ探し出したいと思います。


 新潟に限らず、各地、美味しいお米、美味しいお酒、あるんですよね~。歴史に裏打ちされた文化って、やっぱサイコー。そんな国に生まれてラッキー。そんな国をツアーできてハッピー。サンキュー、ジャパン。


 いっぱいいただいて、いっぱい音楽やってきます!