名古屋に来ています。ひつまぶしをいただいて、お腹いっぱいであります。鰻をたんまりいただいて、精力もぎんぎんなのであります。


 その精力のやり場が、幸いな事に本日のあたしにはあるのです。ワンマンライブなのです。質的にも量的にも、我が国の金融政策よろしくどばーっとアップさせちゃっているのです。トランペットの上石くんが打ち上げの最初から最後まで愚痴をこぼすのです。キツいと。


 ごめんよ上石くん。全ては会場の熱を、音楽の炎を最高潮に達せさせるためなのだ。今日も全力プレイで乗り切って、失った塩分は手羽先や味噌煮込みうどんで補おう。そういうわけで、しっかりやってくれ。


 昨日はプロモーションで名古屋の各放送局で新曲の宣伝活動をさせて頂きました。みなさん大変お世話になりやした!


 その活動の中で、人生初お昼のワイドショー生放送出演って物件がありました。終わってスタッフ出演者各位に「おつかれさまでした~」なんて調子よく言っていたら、番組プロデューサーの方曰く、


「昔僕、真心塾に行ったんですよ!その後大学に受かって、キャンパスでぶわーっとした頭の桜井さんに握手してもらったんですよ!」


 説明が必要です。


 確か1991年ぐらいだったかと。真心のプロモーションの一環で、全国の河合塾を回ってミニライブと質疑応答的なイベントを組んだわけです。その中の名古屋公演、すなわち名古屋の河合塾、僕の記憶が正しければ台風の影響で新幹線のダイヤが乱れ、あわや中止かとなったばったばたの公演。そこに、当時高校生の現ワイドショー番組プロデューサーSくんは受験勉強の合間をぬって見に来てくれていたと。


 その後Sくんは受験戦争を勝ち抜き上京。早稲田の杜でぶわーっとした頭すなわちとれかけドレッドヘアーの(記憶が正しければ小学生でもないのに5年生の)あたしを発見、握手に至ると。


 更に時は経ち、大学を卒業し、地元のテレビ局に入局したSくん。仕事がんばってPになって、自分の番組にて真心と邂逅。


 ぐっときましたよ。親戚のおじさんみたいに思っちゃいましたよ。


「まー、立派になったねー」


 と。会ったの2度、しかも全然覚えてないくせに。Sくん、否、S氏、お世話になりゃーした。


 真心塾の、確か福岡公演では、一番前の席に陣取っていた当時15歳ぐらいの女の子2人組がきゃっきゃきゃっきゃ騒いでおりました。一人はYo-Kingファン。もうひとりはその友達といった感じ。初めての生キングに溢れる黄色い声を禁じ得ない彼女。


「ねー〇〇ちゃん、かっこいーでしょー!」


「ほんとだねー、よかったねー、△△ちゃん!」


 予備校の教室というシチュエイションからは、はっきり言って浮いていた彼女たち。このままだとイベントはおかしな空気のまま終わっちゃうかなーと困りかけたあたしの横で歌っていたYo-King、すかさず△△ちゃんに向かって、これ以上無い吐き捨て感満載で一言、


「うるせーブス」


 1秒の間もなく机に突っ伏した△△ちゃん。黄色い声は嗚咽に変わり、となりの◯◯ちゃんはそっと肩を抱き、おもいっきりYo-Kingを睨みつけました。もう、きぃーーーーっっ!と音が聞こえてきそうな勢いで。


 


 桜井、爆笑。したい気持ちを必至に抑えてギターに集中しようとした福岡のあの日。


 冷えきった空気のなか、△△ちゃんの嗚咽と◯◯ちゃんの刺すような視線だけが教室を最後まで支配していました。桜井は、爆笑を抑えるのに最後まで必死でした。


 あの二人もさすがにもうイイ大人。お母さんとかになっちゃっているのかしら。子供が宇宙兄弟観ようとしたらYo-Kingの声がリビングに流れて、すかさずチャンネル変えたりしていないかしら。心配です。


 こんな場で申し訳ありませんが、いつぞやはメンバーがご迷惑おかけいたしました。まだしぶとくバンドやっています。福岡にもちょいちょい伺います。ぜひ、遊びに来てくださいね。


 さて、ぼちぼち本番行って参ります。今日は何が起こるのかな。


 生きるの、おもしろいね。