カップ麺をほとんど食べないと言ったらその場の皆にものすごく驚かれました。それを食わずして他に日々何を食うのかと言わんばかりに。


 なんでだろ。美味しいよね。美味しいのにね。


 袋麺は食べます。わりとしょっちゅう。袋麺は食べるのに。


 ネギを刻むだけでぐっと旨くなる、そんなのびしろが楽しくて好き。CMでもやっていましたが、野菜をドバっと加えるとまた足し算以上の味わいが。キムチも良し。海苔は言わずもがな。チャーシュー代わりにソーセージぶち込んだりします。これ、めちゃめちゃ旨し。昨夜の鍋の残り汁をベースに加えたりするともう、魔法よ、魔法。金出すよ、俺に。


 そんな、いわば遊びが嬉し楽しくて、わりとしょっっちゅう食ってます。袋麺。夜中にこんなもの、いけないいけないと思いつつ、わりとしょっっっちゅう。


 そこへいくとカップ麺。もう、あの既成のカップの中のみが、完成された宇宙。世界に誇るジャパンの優秀な会社員の皆さんが昼夜を問わず粉骨砕身改良に改良を重ね「これしかない!」と結論を出したその宇宙に、俺ごときが一体何の手を加えられましょう。いらんことするとバランスを崩すだけの結果に。できることは沸き立てアツアツ限りなく100度に近いお湯をカップの線ぴーっったりに入れ、ストップウォッチで3分きーっっかりに蓋を開け、マニュアルを1ミリもはみ出さずに製作し、一気にすするのみ!


 そんなかっちんかっちんノー遊びプレイも悪くはないのですが、袋麺の、そのときの冷蔵庫の中身との一期一会のときめきには敵わず、結果、カップ麺を喰らう習慣というものが私の人生にはなかなか入ってこないわけで。


 ところでカップ麺といえば。


 横浜は赤レンガ倉庫というのどかなデートスポットの一角に海上保安庁の施設があります。そこにこじんまりした体育館みたいな建物が。何を隠そう拿捕された北朝鮮の工作船が展示してあるのです。一般開放されておるのです。タダで。


 ボロッボロの母船と輪をかけて頼りないボート。船内にあったモノも数点展示されているのですが、その中になんと日清のカップヌードルが。確か小さいサイズの。しかも、シーフード味。


 命をかけて潜入する敵国の領海。そこで食べるのはなぜか敵国の商品。360度視界は海。そこで食べるのはなぜか敢えてシーフード(風の)味。しかもつつましくもミニサイズで。


 ……。


 なんともいえない気分にさせられますので、皆さま横浜にお立ち寄りの際は是非、海上保安庁の当施設へ。呑気なデートスポットのど真ん中にあるだけに、平和について考えさせられますYo。こんな凄いもの見せといて、なんせ入場無料。


 かの日清創業者は戦後の飢えを体験し、この先国民がこんな思いをしなくなるようにとの願いを込めて、即席ラーメンを開発されたのだそうな。


 日本を敵とみなす外国人が命がけのミッションの間に空腹を満たすためのアイテムとしては、日清シーフードヌードルはあまりにも、あまりにもうますぎます。


 挙句、そこからみなとみらい駅に向かう道中にはカップヌードルミュージアムが。休日には長蛇の列の人気スポット。おもろいらしいっすよ!あたしはまだ入っておりませんが。


 久々に食いたくなってきた。カップ麺。どうなの、今。