今更ですが、ワンピース読み始めました。1~65巻の大人買い。
これほどまでに国民の心をわしづかみにする作品を、曲がりなりにも表現を生業とする者の端くれとして全く知らないというのもまずいのではないかと、思い続けて10年ぐらいがさあーっと流れちまいました。ここまできたらマンガ喫茶とかで空いた時間にちょこちょことなんて繰り返すのもどうかと。で、アマゾンで一気にポチッとな。ぃよぅ大人!領収書ください!
何を隠そうあたくし、少年ジャンプは子供の頃からどちらかというと好みではありませんでした。「ドラゴンボール」も「キン肉マ」ンもスルー。アンチってほどではないですが、「がきデカ」とか「ドカベン」とか「ブラック・ジャック」とか「エコエコアザラク」とか、クレイジー臭のする漫画に惹かれていたもので。小1ぐらいから。極めつけは「マカロニほうれん荘」。壮絶に崩壊した最終回は子供心に表現というものの恐ろしさを垣間見た気がしたものです。だもんで王道少年ものを健全に突き進む(ように当時の僕の目に映った)ジャンプは己が何者かを探る旅を始めたばかりの少年秀俊には、
「ここはオレのいるべき場所ではない。」
と、少年特有の決めつけ(わりと大切だったりするのですが)で、見開き2ページの、
「ギャラクティカマグナム!!!!」
とかで興奮している旧友を冷めた横目で流していたのです。自分は、
「八丈島のきょん!!」や「清治を想って体が火照る~」
で身震いしておりました。もちろん、力いっぱいマイノリティー。
そんなオレが早くも5巻で熱い涙を溢れるままに。
今更といいますか改めてといいますか、王道の力を思い知らされた秀俊現在44歳。
言うなればコミック界のハリウッド、少年ジャンプ。長年培った感動スキル人気スキルそこへ到達するための編集スキル。そして、それらを受け継いだ現役制作陣の並々ならぬ情熱。洗練され磨きぬかれた王道中の王道にこれまた情熱にあふれた若い才能が出会って、国民的歴史的ヒット作が出来上がった。
この”芸”の前にはひれ伏さざるを得ませぬ。
王道すなわちポップ。ポップと名のつくミュージックに携わるものの一人として、大いに感じ入るものがありました。買ってよかった。心して楽しませていただきます。先は長いぜちょこちょこ読むぜ。
しかしあれですな。ポチッとなはついでにこれもとポチッとなしてしまいますな。
橋本治さんの浄瑠璃の本と岡潔大先生の本がまだ完璧なラッピングにがんじがらめになったまま仕事部屋のソファに横たわっております。ワンピース65巻まで買ったのに、いつ読むんだこれ。間にはさむのか、こんなムツカシソーな本。なりゆきでバイオリンを弾かなくちゃならなくなったのに。小学校低学年のときちょこっと習ったことはあるものの、事実上弾けないのに。すなわち弾けるようにならなきゃいけないのに。近日中に。
まったく忙しいぜ。
読書の秋、芸術の秋は、もうすぐそこに。