本日付で、うちの近所の商店街のレコード屋さんが、その50年の歴史の幕を閉じました。


 中学生時分からお世話になった、近所のカルチャー発信基地。tvkの番組でPVを見た米英の最新ヒット曲や、ベストテンで知った邦楽あんな曲こんな曲、全部商店街のその店でまずはジャケをチェックしたものです。そして、なけなしの小遣いや取っておいたお年玉をかき集めて「これは!」と思ったレコードを「えいや!」と買う。


 そのレコード屋さんの娘さんは中学の同級生。非常にきれいなひと。カルチャー発信基地のお嬢さんが美人、出来すぎた話です。そのお兄ちゃんがドのつく不良。近所のヤンキーは相手にせず、東京の高校に入って都会のやんちゃの限りを尽くしたイカれたお兄ちゃん。これも、なんとなく出来すぎた話。でも、本当の話。


 まさかそのお兄ちゃんが将来2代目社長として引き続きカルチャー発信の責任者となろうとは。


 そしてまさか将来、自分がレコードを作る身分になって、そのレコードをそこで売っていただくことになり、イカれ兄ちゃん社長にさんざんお世話になることになろうとは。アルバム発売の折には幾度となく面出ししてくれましたね。アツいポップも書いていただきました。お兄ちゃん仕切りの商店街音楽イベントでギターを弾くことになったとき、ド不良とは対極の、もの凄くやわらかい物腰で気を使ってくれましたね。近所の天才ドラマー美代ちゃん所属のDetroit 7もいっぱい応援してくれましたね。サンボマスター木内君は、中古レコードの品揃えに舌を巻いていましたよ。


 まことに、ありがとうございました。


 そして、大変お疲れさまでした。


 半世紀。


 音楽の記録媒体が革命的に変化しています。次代の流れだと言ってしまえばそれまでかもしれません。


 でも、音楽を、レコードという形で、それこそ必死に買ったという体験は、宝物であるとはっきり言えます。自分の居場所を買う、そんな行為でした。


 重ねて、ありがとう。


 音楽は、誰かの人生と重なったり時には変えてしまったりする、恋人のようなものだということを教えてくれたお店。


 そんな音楽、作れるようにがんばります。


   お兄ちゃん、青葉のお店が新しい本店になるのかな?今度顔出します。