弾き語りツアー「真心道中歌栗毛」序盤戦を無事に終了。お越し頂いた皆さま、まことにありがとうございました。おかげさまで盛況につき数ヶ所追加させていただきましたYo!当バンドホームページ等にて是非とも公演情報をチェックしてみてくださいませ。友よ、旅はまだまだ続くぜ。


 家でひと落ち着き。根が生えそうな腰をぐっと上げて現在たまった雑務やサボった任務をリカバーすべく、日常をぐわんばっております。


 そのなかでも可及的速やかに実行しなければならなかった物件が。


 地デジ化。


 みなさん今アナログ放送がどういう事態になっておるかご存知ですか?どえらい剣幕で迫られておりますよ、地デジ化。どのように。


 画面の左下、縦横約3分の1、面積にして全体の約9分の1という結構なスペースを使って「あと〇〇日でアナログ放送は終了です!」的な内容のテロップが常に出ているの。鑑賞中の番組のテロップや地震情報なんかにかぶるかぶる。テレビを楽しむことができない状態と言ってよいかと思います。もう、ほとんど暴力。これが本当のカウントダウンになったらどうなるのかちょっと興味がわきましたが、一家の長としてはこれ以上放っておくのも立場的に微妙なものがあり、駆け込み工事で大忙しの電気屋さんを呼び出し、炎天下に屋根の上で容赦なく工事をお願いいたしました。電気屋さんありがとう。汗だくの PanasonicTシャツ、かっこよかったっす。


 


 今回のツアーのオープニングで使っている音楽。フルストロークの三味線で奏でられるこの曲、通称「野崎村」といいます。義太夫節の名曲で、上方の落語家さんで出囃子に使われている方もいるとか。我々が使わせていただいている音源はあたしの魂のゴッド師匠、鶴澤清治さんのプレイ!超かっこいい!


 先日観てまいりました。清治師匠が近松門左衛門のマニアックな作品を一夜限り復曲するという特別中の特別なライブ。しかも限定250席。ツアーの移動日に東京へとんぼ返りして参戦してまいりました。


 わざわざ新幹線に乗って、四谷のニューオータニの隣にあるきれいなホールで義太夫鑑賞。This is オトナの道楽。終わったらまたわざわざ新幹線に乗ってまた地方へ。ザ・放蕩おじさん。腹の底から楽しいぜ!


 近松さん、勧進帳の新解釈に挑戦しておられました。勧進帳といえば歌舞伎の十八番。そのハイライトというべき弁慶が勧進帳を読みあげるシーンがそもそも無い。すっかり読み終わってそれがハッタリだということがバレてもはやこれまでと「義経逃げて!」のサインであるホラ貝を吹く、なんて局面からシーンは始まります。サインを無視して弁慶を助けに関所へ向かう山伏姿の義経一行。すったもんだあって、敵の大将は義経弁慶の主君&家臣っぷりに感じ入り、一行を逃がすことを心に決めます。口に出したその言い訳がすごい。


「お前ら、俺が最近斬った山伏の仲間だろう。山伏に扮して逃げている義経弁慶に似せてわざと捕らえられ俺を惑わせ、鎌倉に偽物を護送させて恥をかかせ、俺のことをダメな役人だというイメージに仕立て上げて挙げく切腹させようとしているな。お前ら、その手には乗らんぞ。『こいつらは義経一行じゃありません』と他の関所にも伝えておくから、さっさと行きなさい!」


 と。く、苦しい。


 その強引さに清治さんも苦笑されたとか。僕は近松という巨人が少し身近に感じられて、嬉しくなりましたよ。勧進帳という超のつく定番演目の新解釈にトライするガッツ。えいやっと持っていこうとするお茶目さ。曽根崎心中という大ヒットを経て60を超え脂の乗り切った時期にまだまだ冒険する、その姿勢にぐっときます。歴史に残った隙のない傑作は氷山の一角。冷たい海に隠れたたくさんのチャレンジ作品たちのひとしずくに触れて、当然ですが彼も人であることを知ります。拝啓門左衛門、僕もあなたも変わりはしない。そんな気持ちで世界を見ていたい。なんて歌が心をよぎります。


 にしても清治さんの曲、えがったー。華やか華やか。キラッキラでした。三味線演奏はもちろん、最高にえがったっす。キレッキレでした、相変わらず。文楽でも是非、上演を希望します!


 今週末はap bankというビッグなイベントにお呼ばれしております。真心のあんな曲こんな曲を、当代一流のセッションミュージシャンのお歴々がbank bandなるいわばイベント専属箱バンとなって演奏してくれるのです。お客さまは数万人!清治さんワクチンはまだ体にどっくんどっくん流れております。大きな空の下、レスポールで着火して俺、火の玉おじさんとなってまいります。


 


 追伸。商工会議所より、簿記3級の合格通知が届きました。ふう、セーフ。郵便受けに合格通知なんて大学受験以来。ちょっと、甘酸っぱい気持ちになりました。


 さて、次はどんなアンチエイジングアイテムで遊ぼうかしら。