気がつけば週末。

 うっかりすっかり抜け殻になっておりました。

 去る11月13日、新宿ロフトに足を運んでいただいたみなさま、本当にありがとうございました。

 「ギターパンダ」こと山川のりをくん、さすがのパフォーマンス。イベント全体を盛り上げていただき大変助かりました。ありがとう。夏に貸したギターのストラップは次の機会に持ってきてね。是非また、近いうちに。

 「フラワーズ」の皆さま、特に地元の甲府から出てきてくれた組。バンドの味を思い出して、仕事辞めたいとかヘンな気を起こしていませんか?ちなみに「びっくりしたな、もう」の他のメンバーは目下新たな生きがいを模索中だそうです。

 あの日、小耳にはさんだのですが、下北沢のこれまた名門ライブハウス「Club Que」のドン・二位さんが「俺は何年も前から桜井くんに“びっくり”のQue出演をお願いしているのに、それを無視してロフトには出るっつーのはどーゆーことか。」と、すこぶる不愉快な思いをされておるそうな。

 二位さん。

 決して断っていた、まして無視していたわけではないのです。実際問題まともな演奏は無理だろうと思っていたのです。ところが今回、みんなすんごい頑張りました。練習5回もやりました(俺が立て替えたスタジオ代、誰か清算してくれ~)。最後までしっかり、客席をホットにするに十分なパフォーマンスをみせてくれました。意識だって変わりましたよ。

ドラムの森田は打ち上げの席でずっと、

「本番中ずっと自分のプレイでいっぱいいっぱいでアンサンブルを楽しむ余裕が全くなかった。それが悔しい。」

 そう言って唇を噛みながら焼酎をごっくんごっくん呑んでいました。森田よ、その言葉、18年前に聞きたかったぞ。

 ベースの滝は現役を離れていたとは思えないグルーヴィーな低音を聴かせてくれました。にも関わらず、

「俺、曲間でいちいち後ろを向いてチューニングしていて、桜井さんとのMCの間を全然考えていませんでした。申し訳ないっす。」

 よく言ってくれた、滝。3人バンドでベースが後ろ向いてドラムが知らん顔すると、残された俺はたった一人で世界に立ち向かわなくてはいけないような心細さに襲われるものなのさ。惜しむらくは同じくその言葉、18年前に聞きたかった。

 二位さん。

 名前からしてどうかしている「びっくりしたな、もう」は、やっといろいろ人並みになりました。

 遅いです。確かに、気づくのが遅い。

 しかしながらもし手遅れでなければ、来年もしくは再来年、下北のあの懐かしいステージに立たせてはいただけないでしょうか。メンバーの今後の生きがいのためのみならず、私自身も気づかされることが多かったのであります。学園祭でわいわいするのが楽しくて始めたバンドは、“お祭り”が人にはやっぱり必要なんだと再認識させてくれました。人生で初めてそれを知った感触を、人生で始めて組んだバンドが忘れていなかった。

 とはいえずっと後ろを確認したまま時間だけが過ぎるのも問題ですから、アンサンブルしかり前向いてMCしかり、たとえ牛歩レベルであったとしても進む姿勢はキープしていきますとも。ええ、もちろん。

 だから、今まで悪かったから、お願い、出させて。




 ああ。

 これでやっと、今年の心臓に悪い現場は終了しました。

 あとはいつもの真心チームのみなさんと、サンボマスターのみなさんと、心行くまで爆発するのみ。

 気がつけば年末。

 気の早い街のイルミネーションは今年も健在です。2006年、思い残しのなきようスパートかけて呑みましょい。こればっかですね。進む姿勢を要するは我なり、か。