首藤くんという友達がいます。

 MB’sでアルトサックスを担当している15年来の友人です。アルトサックスもさることながら宴会番長という重要な役割をも担っている男で、その実力は確かなもの。真心と平行して参加しているケミストリーの現場でも頭角を現した彼、目下ケミストリーのメンバーをして「キャプテン」と呼ばしめているという兵(つわもの、と読んでほしい)っぷりを発揮中。とにかく、酒の席をその何倍も楽しくさせる稀有な才能の持ち主なのです。

 彼と呑むと、最近は腹の出し合いっこになります。首藤君のそれは色の白さといいふくよかなRといい、まるでスヌーピー。心なしかハの字を描いている楕円形の乳首が絶妙の位置に配置され、スヌーピーの優しい目を表現している。へそはさしずめ鼻といったところか。はっきり言って、ものすごく面白く、真実、癒される。

 それに比べて俺ときたら。

 寄る年波&ビール・焼酎類をたっぷり含んだ結果ぽっこりはしているものの、全体としてはやせているためか、どうしたいのかよくわからん肉体、としか言いようがない。とくにコメントするべきポイントが見当たらない。お酒によって現場の爆笑沸点はかなり下がっているはず、相当ぬるくてもOKなその状態にいるはずの我々に、決して訪れることのない笑いの波。へそから下にいわゆるギャランドゥーが群生してはいるものの、範囲も密度もことさらに取り上げるほどの存在感があるわけでもなく、認識しつつも素通りさせざるを得ないの。部屋を支配するムードは、「ふーん。で?」

 要するに、中途半端。どっちつかずの肉体。

首藤君はろれつもままならぬまま激しく抗議します。

「なんだその腹は!俺の域まで来るとか、引くほど腹筋つけるとか、ヒロトさんぐらい細ぉくなるとか、とにかくどうしたい腹なのかはっきりしてくれ!あー笑えん笑えん。いいからもうしまってくれ!」

 出したままのスヌーピーに説教され、激しく落ち込む俺。心なしかがっかり顔に見えるスヌーピーは輪をかけて面白く、首藤くん、僕はあなたが眩しい。

 考えてみればいつだってそうだった。裸のコミュニケーション現場はからっきしの男だったのさ。

 学生時分、酒を呑んでズボンを下ろすのは男と男のハッピーでイノセントな交流儀式でありました。なんかいろいろ虚勢はって生きてる俺だけど、パンツ1枚取られりゃ尻もぽこちんもこんなにまぬけでーす!なる身もふたもない現実を夜の往来で告白する作業(ほかに誰もいないのを確認の上で、ね。犯罪じゃないのよ。多分。)。白いお尻は悲しいほどに隙だらけだ。酔っ払ってでれーんとうつむくぽこちんは切ないほどに頼りない。

 でも、悲しければ悲しいほど、切なければ切ないほど、面白さは核融合を繰り返す。どんなにかっこよい男でも、床を共にする女性にはこんなにもまぬけな白いお尻をさらさねばならぬとは。大の男を、愛おしくて抱きしめたくなる。がんばれよ。よく分かんないけど。

 ところがお腹のみならずオイラの尻ときたら。

 なんか、笑えないの。

 つるん感が足りないというか、なんか、生々しいの。俺の尻。

 尻を出して笑われないということは、下ネタ喋ってすべるに等しい救いようのなさ。それでも、19~21歳ぐらいまでは、「今だったら…!?」という機会に何度かチャレンジはしてみました。けれども結果はいつだってデストロイ。下(しも)に踏み込んで砕け散る屈辱は筆舌に尽くしがたく、何度ひとりぼっちで枕を濡らせたことか。

 ダチョウ倶楽部・上島竜平さん、森三中・大島さん、出川哲郎さん、猫ひろしさん、井出らっきょ御大、そして首藤くん。皆さん、素晴らしい。俺は君たちの肉体が羨ましい。どうしてそんなにチャーミングなのか。




 神様、ぱっちりとした二重まぶたも頼りがいのあるいかり肩も、この期に及んで興味が湧く道理もなく。それよりもどうか、一枚脱いだらその夜のお座敷が熱を帯びるような、そんなチャーミングなハダカが、僕は欲しい。

 男は背中で語るもの、といいます。それはそれでそうかもしれません。しかしながらお尻とお腹で語る何かのほうが、どうしてもかっこよく思えてしまうのです。しかもその思いは年々強くなっていくばかり。いいなあ、ダチョウ竜ちゃんのカラダ。完璧だよ。




 というわけで、元旦に放送した「お笑いウルトラクイズ」は当然ディスクに保存済みであります。