この春、卒業します。

 毎週土曜8時、楽しみにしていた「めちゃイケ」観賞から。

 ’80年代末、「夢で逢えたら」の衝撃を経験した世代としては、’90年代中頃8チャンネル土曜23:30の同ワクで始まった「めちゃイケ」の前身番組「めちゃ×2モテたいッ!」に関しては、とりあえずチェックぐらいのつもりでの観賞スタートでありました。そのまた前身である「とぶくすり」はファンであったものの、彼らに「夢で逢えたら」を引き継ぐほどの体力があるとは踏んでいなかったのです。

 ところが、面白かった。飢えたオオカミのような岡村さん。彼を拳骨で殴る雛形さん。あまりの非礼に本気でむっとするトークゲストの面々。「これは」と思わせる瞬間の数々にどんどん引き込まれていったのを覚えています。

 しかしながら当時、僕の周りにはダウンタウン肯定Butナイナイ否定、そんな同世代の友人が多かったものですから、

「俺、めちゃモテ、すんごい好き。毎週予約録画してる。」

 なんとなくそう言えないまま同番組は土8へ大出世。「ひょうきん族」を継ぐに恥じないテンションを維持しそして現在も土8という黄金の椅子に鎮座し、揺らぐ気配も感じさせません。そんな10年強、毎週欠かさず予約録画を続けてきた僕でありました。

 そして、昨日。初めて自らの意思で予約録画を実行しませんでした。

「テレビを観る観ないで何を大げさな。」

 そんな正論、それを言っちゃあおしまいよ。大事なのは対象の是非でなく、10年以上続けたことそのものなの



 だって、山本さんが出てないんだもの。




 だから、対象の是非が、問題じゃないのよ。

 「山奥」「山代」「油谷さん」「山室奈美恵」そしてめちゃモテ時代の「バーテン山本」…枚挙にいとまのない珠玉のキャラクターの数々。これらのキャラのファンであることは自覚していましたが、もう観ることができないと思うとこれほど気持ちが虚ろになろうとは。失った夢だけが美しく見えるのは何故かしら(松田聖子“Sweet Memories”より引用)。奇しくも、今回の山本ショックは「夢で逢えたら」において野沢直子さんがいきなり渡米して降板したときと似た喪失感、そんな感触を持っている私なのであります。私だけでしょうか。私だけですか。




 ここまで書いて実際昨日は「めちゃイケ」の放送があったのか、不安になって調べたところ同時間帯には「もしもツアーズスペシャル豪華芸能人が選ぶ家族で行きたい!北海道VS女性が行きたい!世界遺産ツアー」であったことが発覚いたしました。脱力。

 手に汗握って“予約録画をしない”という不作為に踏み切った俺。不作為だとしてもそれを実行に移すには勢いってえものが必要です。来週もその葛藤が訪れるのか?また勢いをつけなきゃか?と、ついでに来週のスケジュールも調べたところ、その時間は「江原啓之&嵐 現代人の悩みを救え!!緊急生放送スペシャル~明日への扉~」であることが判明いたしました。再び、脱力。

 再来週まで引っ張られるとさすがに10年強という継続の力が決心に揺さぶりをかけます。

 それに加えて、4月に入っちゃっても果たして人間は卒業気分になれるのか。それははなはだ疑問であります。

 ああ、山本さん。あんた、罪なひとだよ。