本日、ベーシストの沖山優司さんの結婚パーティーに伺ってまいりました。

 沖山さんゆかりのアーティストによる素敵な演奏や、ご友人方の心温まるコメントの数々で進行したパーティーのとどめに披露されたのはなんと、ジューシィ・フルーツ一夜限りの再結成ライブ。

 これはおいら、えらいもん観てしまいました。

 演奏曲はもちろん、1980年発表のデビュー曲「ジェニーはご機嫌ななめ」。作詞が新郎・沖山さんであることはあまり知られていない事実。作詞、ベースのひとなのよ。

 ボーカルのイリアさんは2007年現在、すっかり品の良いマダムないでたち。だけどあのファルセットボイスは色あせることなく、それどころか間奏およびエンディングにおけるディストーション・ギターソロときたらとんでもない男ドアホウ気合丸出しサウンド。数日後に某雑誌にてマンツーマンギター教室的企画という難易度高の謎スケジュールが入っている俺にとって、おおいに勉強になる素晴らしいプレイでありました。

 それにもましてなんといいましても。

 ステージ上・下手に位置した男たち。下手にはオン・ベイス、新郎・沖山優司。上手にはオン・ギターー、柴矢俊彦さん。あの、「お魚天国」の作曲者。おいらを呑み屋で知ったかボーイに仕立て上げた張本人が、上手でギターをしょっている。

 そのお二人が、曲の要所要所でかますふりつけ。基本的に棒立ちで演奏するのですが、要所要所で繰り出すふりつけ。それは例えば上手は左足を、下手は右足をそれぞれ斜め前方に出してかかとを地面につける、オクラホマミキサーで相手と顔を合わせたときにやるあのポーズ。そんなシンプル極まりないふりつけ。それがもう、のけぞるほどに趣き深い所作だったの。

 必死になって覚えてなんとかやっている動きでなく、体のなかにしっかりと刻まれた一連の動作。きっと1980年からバンド解散に至るまで嫌になるほど繰り返したのであろうその動作。いつしか曲のその部分になったらこのダンスをしないとギターが、ベースが弾けなくなる、それほどまでに体に刻み込まれたのでしょう。ステージ上のナイスミドルたちは、条件反射的に繰り出してしまうキュートなダンスをまるで昨日のことのように僕達に披露してくださったのです。

 そしてその所作には、僕も確かに駆け抜けた1980年代という時代をいちはやくモノにしていた鋭敏な感性が真空パックで保存されていました。棒立ちから、キモの部分だけちょこっとだけ動く。テクノポップやロボットダンスにも貫かれる‘80年代的“静と動”“無機質と有機質”。プロデューサーであるところの若き日の近田春夫センセイの鋭気が、きっちりがっちり、残されていたのです。

 こういうのを、無形文化財っつーのね。重要無形文化財保持者、ジューシィ・フルーツ。

 たとえ国に認定されずとも、俺は確かに見届けたよ。重要無形文化財を。

 人間国宝ならぬ、人間秀俊宝に今夜、認定ですよ。ジューシィ・フルーツ。迷惑ですか。そうですか。

 

 さて、明日は例のPV撮影日。私としても2007年の息吹をきっちりと収録すべく、いい加減寝ますか。

 夕方5時から呑んでっからなぁ。

 佐藤さん、ユーフラテスさん、よろしくお願いします。