明日、下北沢にてライブを行います。

 真心ブラザーズでなく、「びっくりしたな、もう」というバンドで。僕が生まれて始めて組んだ、高校生のときからやっているバンドです。

 無論、絶え間なく活動してきたわけではなく、メンバーそれぞれ今はすっかりカタギのひと。担当楽器などここ十数年さわってもいなかったという状況。

 しかしながら、昨年「新宿ロフト」という名門ライブハウスの30周年記念イベントに呼んでいただいたのをいいことに、ほいほいと調子よく乗っかってほとんどリハビリといっていいライブをやらせていただいたところ、メンバー一同すっかりその気に。音楽の魔力に再びとりつかれた次第。

「“今回”俺は久しぶりのライブでコケずに叩くのが精一杯でアンサンブルを楽しむ余裕が全くなかった。それが悔しい。“次回”はもっと楽しんで叩けるように練習しとくよ、桜井。ちくしょう、焼酎もう一杯!」(ロフトのライブ打ち上げにてDrums担当・森田、談)

「桜井さん、曲間のMCでお客さんに背中を向けてチューニングばっかやっているのは、ステージに上がっている者としての自覚が足りなかったですよね。“次は”気をつけます。」(同時刻、Bass担当・滝、談)。

 すっかり次もやる気まんまんなメンバーたち。

 そこへ、風のうわさで、昔から世話になっていた下北沢「Club Que」のボス・二位さんが、

「ウチをさしおいてロフトでやるたあ桜井君、一体どういう了見だ。」

 と、すこぶるおかんむりであるとのコメントが各方面から私の耳に舞い込んできたわけで。

 そういうわけで、どうやら年イチペースの活動になりそうな「びっくりしたな、もう」。明日は下北「Club Que」にお邪魔する運びにあいなりました、といった次第。




 ま、そういった趣のライブなので、ライブそのものはもちろん、打ち上げもまた非常に大きなイベントとなるわけで。ま、ライブを肴に同窓会を求めてやってくる友人知人の期待に応えないわけにはいかないわけで。もちろん俺だって楽しみたいわけで。それはもう、誰よりも。

 ところが明日、俺、大荷物なの。機材が。だから、車で行かなきゃなの。

 車で行くということは、車で帰るということなのだけれど、するってえと、酒は、ご法度ですよ。ですよ、ねえ。そりゃそうだ。

 そこんとこをどうするか。現在その問題に立ち向かっておるわけですよ。

 現段階での最有力案。

 ライブ終了後、機材を搬出したら再びお店の駐車場に停めさせてもらう。次の日の出演者が入庫するまでは停めておいても問題ないはず。念のため次の日の出演者を調べたらキーボーディストの渡辺俊介くんであることが判明。最近、Yo-Kingでも弾いている年下のナイスガイ。優しい心の彼だもの。最悪、脅せばどうにかなりそうだ。

 で、心おきなく、呑む。

 寝床はこうなったらサウナでも漫画喫茶でもなんでもいいや。サウナ泊まりも漫喫泊まりも初体験だわ、俺。いやしくも一家の大黒柱としての面を持つ大の男が大学生みたいな夜のやり過ごし方をしているのはいかがなものかと、そんなことは言わないで。それはそれで、それなりにドキドキできなくもないものよ。

 心配なのは明後日が月曜であるということ。すなわち、週の頭であるということ。

 ふつうの人は、いいとこで切り上げて帰るよね。だって、週の頭から寝不足で二日酔いは、やだもん。一週間しんどいのは、やだもん。

 以前、真心ブラザーズの渋谷でのライブで同じような状況になったとき、その日はセルリアンタワーのすんごいいい部屋を予約してたのに終電前に打ち上げが終わってしまったという事件がありました。あれは寂しかった。ゴージャスホテルに早い時間からひとりきり。全裸になって大東京を見下ろしてもぬぐいきれなかった虚しさは、まるで昨日のことのようにこの胸にはりついています。

 あの事態が下北沢のサウナで、あるいは漫画喫茶で起こると思うと、身の毛がよだちます。あんなに汗をかいたライブの後に、どうして俺はサウナで再び汗をかいているのか。あるいはあんなに楽しかった呑み会トークの後に、どうして俺はひとり黙々と「がんばれ元気」とか読んでいるのか。考えたくない考えたくない。しかし、おおいに、ありうる。

 やはり気合で電車で出勤か。しかしながら、100Wのギターアンプを東横線で移動させるというのは、いくらなんでも公序良俗というものをないがしろにしており…。

 んー、どうすべきか。

神様、どうかどうかお守りください。呑みすぎたアホの連れが、どうかひとりでも発生しますように。

 やはり、神頼みか。