昨夜、「風とロック」誌で箭内道彦さんと初めてまともにお話しました。

 しかも二人っきりで。

 思いっきり緊張しました。

 そんなときは上手く喋ろうと思わずに誠実にいくのだ秀俊!と心に命じて挑んだら空気はどんどんヘンなまじめさを帯びるばかり。各話題はもれなく先細りのフェイド・アウト。あわわあわわしている間に、はい、お時間。

 箭内さん、大変申し訳ありませんでした。帰って呑みました。一点の曇りもない逃げの酒。それでも酒はやさしかった。いつもありがとう、酒。

 で。

そもそもです。そもそもなんでこのページを立ち上げたのかと問うならば、それは話術の才に欠ける俺の、それでも伝えたい、でも伝えきれなかった主に呑み会におけるアツい思いを全地球上にばらまくべく立ち上げたわけで。

 ならばこんなときこそカタチにしてぶちまけるのがスジであると思われ。

 箭内さん、あなたは僕に聞かれましたね。

「桜井さんにとってギターって何ですか?」と。

 あまりの難題に秀俊、その場では、

「やー、なんか、いつまでたってもうまく弾けなくて困っちゃいますよー。」

 的な、ふり返れば答えになっていないじゃん!な言葉ばかりをならべていましたね。面目もございません。

 あれは、こういうことが言いたかったの。

 つまり、ギターって、俺のことをあんまり好きじゃない彼女のようなものです、と。

 自分は左利きなのに右利き用のギターを使用していることが大きな原因かと思います。人前で演奏しているときであれレコーディングで集中しているときであれ、イメージしている出したい音と実際の手元との間にいつでも微妙な距離を感じているのです。もう、常に。

 ギターのことは大好きなのです。一生離さないと思うのです。金もかけます惜しみなく。時間もとりますいくらでも。でも、湧き上がる思いをギターに伝えようといくら頑張っても、いつもどこかで彼女はほかの事考えているような。

 でも、たまに。たまーにすんごいビシぃっと伝わることがあるの。そんときの彼女と俺は、大変なことになっとるの。やっと服を脱いでくれたような、全部俺に預けてくれたような。

 そんな風に、これからも別れることができずに暮らしてゆくと思われるのです。俺のことをあんまり好きじゃないこの彼女と。

 以上、これが僕にとってのギターです。




 次回、修学旅行の際はやつらに負けないパフォーマンスを箭内さんに約束しつつ。

 詳しくは今度の「風とロック」誌で。