昨日今日でぽっと暖かくなりましたな。春遠からじ、といったところでしょうか。

 などと呑気なことを言っている場合ではないのでした。

 すっかり忘れておったのです。昨年末に自宅裏の軒下で発見されたスズメバチの巣のことを。

 明日のうちに駆除せねば。たったひとりで。

 でも、どうやって。




 とりあえず衣装。衣装といいますか作業着ですか。どうするか。

 万が一蜂が残っていて、かつ彼が戦闘可能なコンディションにある。これが最悪の事態であり、そこに備える必要がある。なんせテキはキング・オブ・日本のハチ。それはもう、万全の態勢で。

 とりあえずパンツは2001年のツアーで履いた、歩くのも困難なほどに硬くぶ厚い皮パンで決まり。こいつをこれまたハード極まりないブーツにイン。ハード・トゥ・ハードでぐりぐり突っ込むかたちで。

 上はコートかダウンジャケットか。ダウンのほうが厚さとしては安心できるものの、おいらのダウンは色が黒。聞いたところによるとハチは黒い色に向かって攻撃を仕掛ける習性があるとか。ホントかどうか情報も記憶も定かではありませんが、なんとなく不安なのでここはグレーの硬い生地のロングコートに決定。

 手袋は自転車用のやつの上に軍手を2枚ほど重ねれば事足りるか。

 問題は頭部。

 頭は帽子やらタオルやらで何とかするとして、顔。カオをどうする。

 TVで見かける養蜂家のおじさんが被ってるツバ広の帽子から網が下がってるようなのとか、当然、ありません。平安時代の貴族の女の人が外出するときに被る、ベールみたいのが付いてる山高帽みたいのも頭に浮かんだけど、そんなの、なおさらあるわきゃありません。

 まあ、作るしかありませんわな。

 メッシュ、ねえなあ。かといってビニール系で代用するにも、テキの進入を防ぐために厳重な目張りを要する以上、息、出来なくなっちゃうもんなあ。カーテンのレースのとこを切り刻むわけにもいかんよなあ。

 む。

 ただ今家の中をひとぐるり歩いてきたところ、洗濯機の脇に洗濯ネットを発見。しかも、やたらたくさんある。10枚はあった。そんなにいるか?洗濯ネット。

 早速一枚適当に引っ張ってきてガムテでパナマ帽にバミって作ってみようと、思ってとどまって明日にすることにしました。「たくさんあるからいいじゃん」というのはこちらの都合のみに照らした解釈。ひょっとして洗濯ネットが異様にあるのには何か深い訳があるのかもしれません。それを妻に確かめてから一番ボロいやつを譲り受けたしかるのちに行動に移るのが妥当な順序であると考えます。

 結婚生活というのも、なかなかどうして抜き差しならないもの。洗濯ネットひとつで大変な騒動など起きないと、どうして言い切ることができましょう。

 しかし妻よ、一体なぜこんなにもおびただしい数の洗濯ネット。




 兎にも角にも明日の俺。

皮パンをブーツイン、グレーのロングコートに軍手を重ね着。パナマ帽から洗濯ネットが垂れ下がり、頭部はターバンよろしくバスタオルが巻かれている。

以上を総合すると、なかなかものものしいスタイリングになりそうですな。

 戦果のほどは、また後日。