2歳になる長男がパソコンのEnterキーをむしり取りました。

 Enterキー。

 それはパソコン操作全般において節目節目に登場する、作業決定権能を司る最重要といって過言でないキー。それはもう、小さなことから大英断に至るまで。

 漢字の変換しましたよ、次のセンテンスに移っていいですか?はい、結構ですよ、の「Enter」。パスワード入れましたよ、ログインしますか?しますとも!の「Enter」。銀行振込み、結構な額ですけどボタンひとつで光の速さでお金を右から左へ動かしますけど、動かしますか?動くというなら動けばいいじゃん!!の「Enter」。ああ、「Enter」。

 このEnterが、ひんむいてみるとなかなかどうして複雑な構造で本体にくっついており。謎の小さな金属部品が2~3あとからびよぉんと出てきたりなんかして、とても素人が修復できるしろものではない。仕方がないからむしりとられたまんまの作業を強いられておる現在なのですが。

 みなさん御存じでしょうか。

 数あるキーのなかでもひときわ大きな面積を勝ち取ったEnterキーのカバーの奥には、ちっちゃなゴム(シリコンか?)製の、非常にかわいらしい乳首のようなぽっちが隠されていることを。

普段ぼくたちはキーのカバーを通して、このかわいらしいぽっちの感触を味わっていたのですね。カバーはブラで、ぽっちはとりもなおさず…まあ、そういうことであったわけですね。

 で、皆さま。

 Enterキーといえば、勢いよく「えいや!」と叩きたいものですよね。なんせ決定作業。俺はもうこの件に関しては後へは引かぬのだ、という意思表示ですもの。ピアノでいえばソロフレーズのラストに最高音を鳴らすようなものです。フォルティッシモが人情てえもんです。

 それが、いまや白日のもとにあらわになったけなげな乳首。

 ばちこーんと叩いて己が右手は若干宙に浮く!等、乱暴な扱いなどどうしてできましょう。

 ここへきてEnterキーを押すのは右手の小指だという事実を思い知らされます。Notがさつなお父さん指、But繊細な赤ちゃん指。どうしたって、やさしくやさしく扱ってしまう。つくづく、俺って男子。

 まったくもって調子が出ないまま、中野の夜のご報告を。まずは「傷だらけの真心」中野編。




  中野も今はずい分と変わったよ

  この街に住みついた

  芸人やミュージシャン そしておたくたち

  明日の日本は君のもの




 改行するにも右手小指でやさしくぽちっとな!続きまして中野ブロードウェイのにぎわいに投資信託の痛手もすっかり忘れて勇気をもらったM.C Sakuさん。




  経済危機は何ら効きません

  週末の中野は喜々とした人波で

  君の声も聞き取れないほど

  Broadway 写メ撮って「イェイ」

  元気があればなんでもできる

  エイエイオー! 突き上げる拳

  戦士 ちょい小休止

  ナカノに灯る赤ちょうちん 麗しい




 さあ、旅の終わりが見えてきました。

 まだまだ何が起こるかわかりません。何が起ころうと、それは全部生命の喜びにつながっているんだぜ。問題は、それをつかみ取るか、見過ごしてしまうかだ。

 もうすぐ大阪に行くよ。

 今日のところは右手の小指で「おやすみ」を。

 ぽちっとな。