1997年のいわゆる「キャミ元年」(桜井命名・日本人女子がこぞって上半身をキャミソール一丁で街を闊歩し出した衝撃の年)以降、気候が穏やかになってくると世の女性の胸元が御開帳方面に向かう傾向は景気に反比例して著しい成長を遂げております。

 「キャミ元年」から干支を一回りした今年、2009年ももう6月。俺たちの目のやり場を困らせるご開帳傾向は衰えることを知らず、エスカレートはしないまでもその多様性に向けて進化している模様ですな。

 かかるご開帳傾向の多様化を秀俊、大きく分けて3パターンに分けてみましたよ。

 ひとつ、ホライズン型。すなわち地面に対して平行な胸元ラインの洋服。ジャケット等と合わせれば仕事のデキるオンナ風。もしくはYo-King先輩の大好物、女教師風。そのホライズンが年々標高を下げている。ええ、確実に。うっすら谷間の始まりを感じさせるギリギリで下降を止める遥かなる地平線よ。その昔、ホライズンの彼方を目指した冒険野郎たちの魂が俺のなかにむくむくと蘇ります。コロンブスよマゼランよ間宮林蔵よ、21世紀のレディはえらいことになっているぜ。

 ふたつ目はU字型。読んで字のごとく、くび元を描くラインがU。カジュアルなデザイン故か若い女子に好まれているようですが、いくらなんでもそのUが、でかい。年々レッツゴー・ワイド。スケボーしたいぜそのハーフパイプ。かと思いきやコースのボトムには乳の谷間という落とし穴が。とんだ蟻地獄だぜU字型。ホライズンと決定的に異なる点は、重力によって冒険野郎の視線がおのずと曲線のボトムに向かってしまう、否、曲線が故意にボトムへ向かわせているという罠にあると思われます。

 その進化系がV字型。もう、言わずもがなです。罠も丸出し、罪な首→胸元一直線。深く甘い谷に目玉も心も急転直下です。ほとんど矢印でしょ、あんなライン。母なる谷間に向って「みなさーん、こっちですよー!」って指示しているでしょ、あのVの字。あっちむいてホイでつられるパターン。なのにうっかり指示に従ってガン見かましたら後ろに手が回るんでしょ。なんという割の合わない話。理不尽です、V。

 ホライズン→U字→V字。これをあたくし罪のクレッシェンドと呼びたい。そのフォルティッシモにあたるVにあろうことかトンボみたいなサングラスを引っかけたすこぶる小又の切れあがった美しい見知らぬ悪魔が本日、新宿通りの交差点の向こうに立ってやがりましたよ。小さなお顔に大きなトンボはさぞ似合うことでしょう。新宿駅へ歩くトンボはただでさえ罪なVの底に多大なる重量を付加し、通常のVより3㎝は深く秘境を俺たち四谷方面に向かう全ての男たちに惜しみなく披露しておりましたよ。信号が青になったらより鮮明になるであろう秘境の全貌。でも、あんまり近寄ったらじろじろ見ることも出来ない。このまま赤のほうが俺たち、幸せな距離なのか。でも、確かめたい。あ、青だ。目標接近。うわ、可愛い。V、見たい。でも、ああ、無理。ああああ、すれ違った。まさか、振り返れない。あのトンボメガネの柄の片方は、確実に谷底に密着しているわけで。おいおい、大変なことになってるじゃん!柄になりてえ!!少し落ち着こうか、俺。

 ふう。

 信号を横断するだけで、どうしてこんなにへとへとにならなくてはいけないのでしょうか。頼むから最初から着ないでくれよ、Vなんか。や、でも、俺の心のどこかがまぎれもなくつぶやいている。「ありがとう、V。それからナイス重量、トンボ。」と。

 ご開帳傾向無邪気に順調なレコード会社勤務・真心ブラザーズ担当のS女史曰く、

「えー、でもあたしなんか貧乳ですからちょっとぐらい見えたからって誰も何とも思わないですよー!」

 Sよ、よく聞いておくれ。ものの大小が問題ではないのだよ。心許した選ばれしオスしか元来垣間見ることの許されなかった大事なエリアがたとえ1cmであれ昨日より広く白日の下に晒されたら、それは冒険野郎たちにとっては大事件なのだよ。そう、問題はエリアそのものなのさ。




「芸術っていうけど、なんでみんなハダカの絵ばっかり描くんだろー。」

ガキのころはそう思っていましたが、最近だんだん身にしみてきました。かなわないよ、女子の造形には。