濃い。今年の夏、濃いわ。気温と反比例して、濃すぎ。

 坂崎幸之助さんに呼んでいただいたイベント「お台場フォーク村デラックス」、まさかの1時間30分押し。単に全員しゃべり過ぎ。いくらフォークのイベントっつったって、お台場という小島にお客さんを一晩軟禁せんばかりのくどさ合戦。坂崎村長、谷村新司さん、押尾コータローさん、秦基博さん、そして真心の計6人がフォークギターを小脇に抱え横一列に並んだその画だけで十二分に衝撃映像なのに、お届けしたフィナーレの曲目はアリスの「冬の稲妻」。そしてアンコールには「チャンピオン」。ラストの合唱「ライラライラライ…」のくだりは原曲の4倍の長さで。濃い。濃すぎる。

 今更ながら歌の力を思い知らされた、衝撃の夜でした。

 翌日からは3日間に及ぶ西日本宣伝活動行脚。それを経た土曜日は瀬戸大橋を超えて香川入り。四国最大のロックフェス、モンスターバッシュに参加させていただく。

 午後3時ごろの現場到着と同時にステージから聞こえてきた歌声は、あろうことか小泉今日子さん。1980年代育ちにはたまらなすぎるその存在。リュックと大阪で買ったお土産の紙袋を持ったまま一直線にステージ袖へ。Kyon2・2009サマー。ドレスは羽衣に、ご本人は天女にしか見えませんでしたよ。ラス曲「学園天国」、全身全霊でレスポンス&シャウトさせていただきました。傍らにいた四星球ボーカル・北島くんと。

 午後4時からはメインステージで泉谷しげるさん。4月に共演させていただいた肌触りも生々しいあたくし、夏の野外で不特定多数の若者に氏がどんな毒と愛をぶちまけてくれるのか見届けるべく客席へと向かう。と、同じようなことを考えている風の足取りの長身の男が。先ほど学園天国で熱狂を共にした四星球・北島くん。まあ、一緒に行こうかというノリになり二人で楽しむ。数曲目でギターの藤沼さんが聴き慣れたリフをかき鳴らす。チャボこと仲井戸麗市さんのプレイで中学時分から何度となく燃えたあのリフ。そう、「雨上がりの夜空に」。地すべりのようにステージへ押し寄せる数千のお客さん。一心不乱に歌う泉谷さん。ぶっといパンチをくらってのけぞる俺と北島くん。

 ラス曲の「野生のバラッド」は矢も楯もたまらず出演者の特権で再度ステージ袖へ移動。1cmでもそばで観たい。北島君は半分ステージに乗り出して泉谷御大の一挙手一投足に見入っていたね。気持はわかるけど、もうちょっとはじっこで観ようね。

 いやー、でもまあ凄かった。泉谷さんご本人はもちろんのこと、氏を支えるスタッフの皆さんのハートが凄まじかった。ライブに“事件性”を必要条件とする氏のモットーを支持するのみならず自らもそれを欲し、かつ「絶対に事故は起こさないのだ!」という、ロックンロール魂とプロフェッショナリズムの同居。感動しました。コンサートスタッフのかき鳴らすロックンロール。でっかい音で、確かに俺は聴いたのさ。喝采!

 午後6時。真心ブラザーズの本番。西の空が茜の海になって、特捜最前線のエンディングみたいな夕日が緑の木々に沈むころ「空にまい上がれ」のイントロを弾く僕の目の前、最前列のど真ん中でめいっぱい踊り狂っていたのは、やはり四星球・北島くんでした。

 北島くんよ。あのあとおたくのギター・まさやんが僕にくれた君たちのアルバムを今、部屋で聴いているよ。そして、感動しているよ。サンキュー、あんたたち若いのに濃いね。今日のモンバス、君たちのライブは、盛り上がったかい?

 日本のポップミュージック、面白いです。年下の皆さんも、偉大な先輩方も。

 さあ、俺も歌おう。